パウエル議長会見を受け米株が大幅高に

2019年2月1日の日経平均株価の終値は、前日より14円90銭高の20,788円39銭となりました。2018年12月19日以来およそ1か月半ぶりの高値です。

1日午前中に発表された、1月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が、前月よりも1.4ポイント低い48.3と、約3年ぶりの低水準となったことから、前場では一時下落に転じました。しかしその後は、好業績を発表した銘柄を中心に買いが広がり小幅続伸となりました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。大きなポイントの一つは、米国の利上げの動向です。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、30日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、利上げを棚上げすることに加えて、資産縮小についても慎重に進める姿勢を示しました。

強気の発言が続いていたFRBがハト派に転じたことは、今後の相場の動きに大きな影響を与えそうです。金融引き締めに対する懸念が後退したことから、30日のダウ工業株30種平均は大幅に上昇しました。

一方で、利上げがなくなると、ドルが売られ、円が買われることになるため、日本株にとっては円高懸念もあります。

米中貿易摩擦の影響については見通しが難しいところですが、足元では米景気は堅調です。1日に発表された1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比30万4000人増と市場予想(約17万人)を大幅に上回りました。これを受けて、同日のダウ平均は、前日比64ドル22セント高の25,063ドル89セントと反発しました。

日本株についても今週初から買われる展開になるかもしれません。ただし、日経平均は年初からじりじりと上昇してきましたが、ここにきて一服感もあります。好業績の銘柄が買われる一方で、任天堂やZOZOなど注目される企業が下方修正すると急落が起こりました。

また、今週は中国などが春節(旧正月)の休暇で、シンガポール市場も4日は半日取引、5、6日は休場となります。流動性が低くなるため、急な値動きにも備えたいところです。

21,000円超えに期待、22,000円台も視野に

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。ローソク足の実体が25日移動平均線を回復した後、そのまま割り込むことなく上昇しました。ただし、その勢いはあまり強くありません。

というのも、現状を中期的に見れば、まだ10月2日の高値から12月3日の戻り高値をチャネルの上限とする下降トレンドラインの中にあるからです。年初から続く短期的な上昇を狙う投資家と、下降トレンドラインの上限からの戻り売りを狙う投資家の駆け引きが続いています。

さらに、心理的な節目である21,000円、75日線と重なる21,500円あたりも重なるため、陰線と陽線が繰り返し現れるようなもみ合いが続いています。

一段上のステージに上がるためには、このあたりを上抜けする必要があります。足元のチャートを見ると、5日動平均線が25日移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成されていることに加え、25日線の傾きも上向いてきています。チャート的にはいい形になりつつあります。

21,000円前後は過去にもみ合ったところでもあり、抜けるためにはエネルギーが必要ですが、抜けてしまえば強いサポートになる可能性もあります。その後は22,000円や、2018年11月8日の高値の22,583円、12月3日の22,698円などが上値めどになるでしょう。

逆にここから調整が入るとすれば、下値めどは、25日線と重なる20,300円付近、節目となる20,000円のほか、2019年1月4日と1月7日の間の窓埋めとなる19,655円あたりが意識されます。

下原 一晃