11月に入り、紅葉を楽しみながらも、そろそろ年末や来年の準備が気になる時期ですね。

特にシニア世代にとって、お金のことは安心して暮らすために欠かせないテーマです。最近は物価や光熱費の値上がりで、「この先、貯蓄だけで足りるのかな」「年金で生活できるのだろうか」と不安を感じる方も少なくありません。

そんなとき、実際の平均貯蓄額や年金の受給額、夫婦二人で暮らす場合の生活費の目安を知っておくと、今後の計画を立てるうえでとても参考になります。

この記事では、70歳代二人以上世帯の平均貯蓄額や中央値、シニア世代の厚生年金と国民年金の平均受給額、さらに65歳以上の無職夫婦世帯のひと月の生活費などをご紹介します。

1. 意識しておきたい「平均寿命と健康寿命の差」

2025年6月13日、国会で年金制度改正法が成立しました。

今回の改正では、現役世代の保障強化に加え、働きながら年金を受け取るシニア世代への制度調整、さらに私的年金制度の充実まで、幅広い見直しが盛り込まれています。

なかでも、在職老齢年金の支給停止基準の大幅な緩和は、シニア世代の年金受給と就労の両立を後押しするものです。

実際に、総務省の「2024年(令和6年)労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は930万人(前年比+16万人)に。シニア世代の就労は確実に増えています。

その一方で、厚生労働省の統計によれば、平均寿命(※1)と健康寿命(※2)には男性で約8年、女性で約12年の差があります。

この「平均寿命と健康寿命の差」の期間は、医療や介護が必要となる可能性が高く、老後の暮らしに備えた「お金の準備」がますます大切になってくることが分かります。

こうした背景を踏まえると、現役時代からの貯蓄や資産形成は、70歳以降の暮らしの安心感に直結するものと言えそうです。

※1 平均寿命:2022年 男性81.05歳、女性87.09歳・2023年 男性81.09歳・87.14歳(「令和5年簡易生命表の概況」)
※2 健康寿命:2022年 男性72.57歳、女性75.45歳(「健康寿命の令和4年値について」)