2025年9月5日に総務省統計局が「家計調査(2025年7月分)」を公表しました。二人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり月額30万5694円、前年同月比では実質1.4%の増加、名目では5.1%の増加となることが分かります。
最近は、食料品などの物価上昇も続き、年金収入中心の高齢者世帯では、家計管理や生活費のやりくりに頭を悩ますこともあるのではないでしょうか。
今回は70歳代の平均貯蓄額や、老後に必要とされる生活費の実態について、最新の統計データをもとに見ていきます。
1. 70歳代ふつうのシニア、貯蓄3000万円以上を保有する世帯は何パーセント?
70歳代の世帯における貯蓄の実態を確認してみましょう。
参考にするのは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」のうち、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を持たない世帯を含む)」に関するデータです。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
このデータによると、「70歳代・二人以上世帯」の貯蓄額の平均は1923万円となっています。
しかし、この数値は高額な資産を持つ一部世帯が全体の数値を押し上げている可能性が高く、必ずしも一般的な世帯像を示すものではありません。
多くの世帯の実態を反映している中央値に注目すると800万円であり、70歳代の二人以上世帯の多くは「800万円前後」の貯蓄水準に集中していることもわかります。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
また、世帯ごとの貯蓄額の分布において最も多い割合を占めるのは、全体の約2割(20.8%)にあたる「貯蓄ゼロ」の世帯です。
一方で、3000万円以上の資産を保有している世帯も約19.0%存在しており、世帯間の差が大きいことが明らかになっています。
70歳代世帯の貯蓄水準は、退職金の有無や就労歴、相続、健康状態といった背景によって大きな差が生じています。
さらに、公的年金の受給額も現役時代の加入状況に左右されるため、年金だけでは生活維持が難しい世帯も出てきます。
そのため、安定した老後生活のためには、各世帯の事情に応じた生活設計を見直すことが欠かせません。
具体的には、健康なうちにパート勤務などで収入を得る、あるいは不動産や投資による資産運用を検討するなど、複数の選択肢を早めに考えておくことが重要です。