2025年10月、秋が深まりつつあるこの時期は、老後の生活設計について考える良い機会と言えるでしょう。 物価高や社会情勢の変化もあり、将来への漠然とした不安を感じている方も少なくありません。
特に、生活の基盤となる公的年金制度については、「仕組みが複雑でよくわからない」という声も多く聞かれます。 しかし、年金制度は老後を支える重要な柱であり、その仕組みを理解しておくことは、安心して生活を送るために不可欠です。
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。 現役時代に納めた保険料が将来の受給額に直結するため、まずはその基本的な枠組みを知ることが第一歩です。
本記事では、公的年金制度の全体像から、実際に年金を受け取る際に送られてくる「年金振込通知書」の読み解き方、さらには平均受給額の現状までを詳しく解説します。
ご自身の年金受給額がどの程度になるのか、そしてどれだけの人が「月20万円以上」の年金を受け取っているのかといった具体的なデータにも触れながら、将来の生活設計に役立つ情報をお届けします。
1. 公的年金制度を解説
年金制度はなんとなく複雑な印象があるかもしれませんが、以下のしくみ図をイメージするとわかりやすくなります。
このうち、1階部分に位置するのが国民年金。基礎年金と呼ばれることもあります。
加入対象は日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人で、年金保険料は全員一律(※1)です。
加入して受給資格を満たせば、将来は基礎年金が受け取れます。このうち老後の年金は老齢年金となり、保険料を40年間欠かさず納めれば満額(※2)の老齢基礎年金が受け取れます。
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
そして、2階部分に位置するのが厚生年金です。
加入対象は会社員や公務員、パート・アルバイトで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人など、第2号被保険者となります。
年金保険料は収入に応じて決まり(※4)、給与からの天引きで納付します。
老後の年金として老齢厚生年金が受け取れますが、受給額は加入期間や納めた保険料により個人差があります。
※3 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される