3. 資産の寿命をシミュレーション
60歳代・70歳代ともに、二人以上世帯の金融資産保有額の平均は2000万円前後でした。
このうちの半分(1000万円)を運用に回し、3%で運用しながら30年間にわたって取り崩す場合を考えてみます。
毎月の受取額は4.2万円となるため、毎月の赤字は補填できそうです。
運用に回す以外のお金は、突発的に発生する医療費や介護費の備えとしてプールしておけば、経済的に安心できるのではないでしょうか。
4. まとめにかえて
65歳以降は年代を問わず赤字が続く構造的な問題があり、貯蓄の取り崩しは避けられません。
しかし、平均的な貯蓄額2000万円程度の半分を3%で運用しながら30年間取り崩すシミュレーションでは、月4.2万円の受取が可能となります。これにより慢性的な赤字を補填できる計算です。
単純な取り崩しではなく「運用しながら取り崩す」手法により資産寿命を延ばし、安心できる老後生活の実現が期待できます。
計画的な資産形成と運用戦略の構築が、現役世代にとって急務といえるでしょう。
参考資料
柴田 充輝
執筆者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。
監修者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
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CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)