3. 老後はどのくらい「年金」をもらえる?
ここまで、給与収入と年金収入が月51万円を超えると年金が減額になることを確認しましたが、実際に年金はどのくらいもらえるのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳代の平均年金受給額は以下のとおりです。
3.1 70~79歳の厚生年金受給者がもらう平均年金月額(国民年金を含む)
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
会社員や公務員経験がある厚生年金受給者の、平均年金受給額は月14万5000円程度となります。
たとえば、年金受給額が月14万5000円程度の場合、「月36万5000円を超える給与収入」が《年金が減額になるボーダーライン》となるでしょう。
ただし一般的に再雇用や再就職は、現役時代と比べ給与が減る傾向にあるので、給与と年金で月51万円を超える人は少数派かもしれません。
4. ライフスタイルや家計収支に合わせて「老後に働く」選択肢も
この記事で紹介した通り、定年退職後も働く人は増加傾向にあります。
年金と給与を合わせて51万円を超えると年金が減額されるため、「年金をもらいながら働く人」は注意しましょう。
ただし年金制度改正法の成立により、2026年4月から年金が減額される基準額が「月62万」に引き上げることが予定されているため、今後の動向に着目しておくことも大切です。
老後の計画を立てる際には、定年退職後も再就職や再雇用で働くことも選択肢に入れながら、年金が減額されないように収入状況をよく確認しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 厚生労働省「年金制度改正の全体像」
- 内閣府「「生活設計と年金に関する世論調査」の概要」
- 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」
苛原 寛