5. 「生活が苦しい」シニア世帯は半数以上に

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

5.1 高齢者世帯の生活意識

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。

まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。

その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。

そして、これら両者の中間にあたるのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。この割合は「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回りました。

経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らす一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している様子もうかがえます。

6. 高齢期の暮らしを安心して迎えるために

本記事では、70歳代の貯蓄と年金の実態について見てきました。

70歳代の生活には、年金収入と貯蓄のバランスが大きく影響します。公的年金だけでは生活費をすべてまかなうのが難しいケースもあり、医療費や介護費といった予期せぬ支出に備えるためにも、一定の貯蓄は欠かせません。

こうした状況を踏まえると、高齢期の安心を得るには、現役時代から計画的に資産形成を意識しておくことが望ましいでしょう。

老後の暮らしをより豊かにするために、早い段階からの準備を意識していきたいものです。

参考資料

中本 智恵