4. 「国民年金・厚生年金」年金月額の男女差・個人差
60歳~90歳以上の全受給権者における平均年金月額も見ていきましょう。
国民年金
- 全体 5万7584円
- 男性 5万9965円
- 女性 5万5777円
厚生年金
※国民年金部分を含む
- 全体 14万6429円
- 男性 16万6606円
- 女性 10万7200円
国民年金のみを受け取る場合、平均年金月額は男女全体で5万円台です。一方、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取る場合、平均月額は男女全体で14万円台と、国民年金のみの場合よりも手厚くなります。
ただし、厚生年金の平均年金月額を男女で比較すると、男性平均が16万円台であるのに対し、女性は10万円台となっており、大きな差が生じています。これは、現役時代の働き方や年金加入期間が反映されているためです。
老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況によって大きく異なります。ご自身の将来の年金見込額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。
5. まとめ
今回は、公的年金の仕組みと、令和における老齢年金世帯の平均受給額を確認しました。
もちろん受給額は人それぞれ異なりますが、平均水準から考えると、多くのシニア世帯が年金だけで生活を成り立たせるのは難しいと想像できます。さらに今後の物価上昇を考慮すると、自助努力による資産形成の必要性はますます高まっていくでしょう。
銀行預金は安全性が高い反面、低金利のため資産を増やしにくく、インフレによって実質的な価値が目減りする可能性もあります。その点、株式や投資信託、債券といった資産はインフレに比較的強いとされ、将来に備える手段の一つとして検討する価値があります。ただし、投資にはリスクが伴うため、リスクを理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
将来に向け、今できる対策を少しずつ考えてみることが、安心した老後につながる第一歩となるでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
菅原 美優