寒さが本格化し、年末の慌ただしさが増す2025年12月となりました。 同時に、来年の家計や将来の生活設計について改めて考える時期でもあります。 老後の生活資金については、常に高い関心が寄せられていますが、年々厳しさを増す高齢者世帯の現実をご存知でしょうか。

最近の調査では、半数以上のシニアが「生活が苦しい」と感じているという衝撃的な結果が示されています。 長年の努力で築き上げた老後の生活基盤が、今の物価高や公的年金の実態によって揺らいでいるのです。 特に、無職の高齢者夫婦世帯においては、平均的な年金収入だけでは毎月の支出を賄えず、貯蓄を取り崩して生活しているという厳しい実態が浮き彫りになっています。

平均貯蓄額の数字に惑わされることなく、自分の老後資金が本当に十分であるのか、また、毎月の赤字をどのように解消していくべきか、具体的な対策を講じる必要に迫られています。

本稿では、最新の公的データに基づき、高齢者世帯のリアルな家計状況、貯蓄額の現状、そして公的年金の受給実態を詳細に解説します。 老後の「お金の現実」を直視し、これから迎える新年を前に、ご自身の資産形成や家計の見直しを行うための貴重な機会としてください。

1. 半数以上のシニアが「生活が苦しい」と感じている厳しい現状

まず、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯がどのような生活意識を持っているのかを見ていきましょう。

調査結果では、高齢者世帯の生活感は次のような傾向が示されています。

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」「やや苦しい」を合わせると、55.8%が生活を「苦しい」と感じているという結果でした。

さらに、「普通」と答えた人の割合を上回っており、多くの高齢者世帯が生活に厳しさを感じていることがわかります。