5. 【厚生年金・国民年金】みんなの平均年金月額はいくらか
シニア世代の年金事情についても見ておきましょう。
厚生労働省が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金(※)の平均年金月額を確認します。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
5.1 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?
国民年金の平均月額
- 全体 5万7584円
- 男性 5万9965円
- 女性 5万5777円
厚生年金の平均月額
- 全体 14万6429円
- 男性 16万6606円
- 女性 10万7200円
国民年金のみの受給権者は、全体、男女別ともに平均月額は5万円台。満額受給の場合でも7万円未満です。一定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
一方、厚生年金の受給権者の平均年金月額は、男女全体で14万円台。国民年金のみの場合と単純比較すると高めですが、男女別に見ると、男性が16万円台であるのに対し、女性は10万円台です。
厚生年金の受給額は、現役時代の「年金加入月数」と「その期間の報酬(給与・賞与)」によって決まります。働き方や収入の違いが老後の受給額に反映されることが、男女間の受給額に大きな差が生じる主な理由となっています。
受給額によっては、厚生年金を受け取る人でも老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性があるでしょう。
6. 2025年6月13日、年金制度改正法が成立。概要を整理!
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。
今回の改正の全体像を見ておきましょう。
6.1 主な改正内容
社会保険の加入対象の拡大
- 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
在職老齢年金の見直し
- 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
その他の見直し
- 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
- iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど、私的年金の見直し
上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。
7. 理想のセカンドライフには「備え」も大切
本記事では、年金生活者支援給付金について解説してきました。
年金生活者支援給付金は自動的に振り込まれるものではなく、ご自身で請求手続きが必要となります。申請方法を正しく確認し、忘れずに対応しておきましょう。年金に上乗せされる仕組みですので、生活における大切な支えとなるはずです。
さらに、安心して老後を過ごすためには、収入面だけでなく健康面での備えも欠かせません。特に、がんなどの三大疾病にかかると、治療費や治療期間が長期化する恐れがあります。医療保険や保障内容をしっかりと見直し、万が一に備えておくことをおすすめします。