2025年10月を迎え、今年も残すところあとわずかとなりました。秋の行楽シーズンは、夫婦での旅行や趣味の活動に充てる方も多いのではないでしょうか。

しかし、度重なる物価高騰は、退職後のゆとりある生活設計にも影を落としています。特に年金生活者にとっては、食費や光熱費などの日常的な支出の増加が大きな課題です。

政府の社会保障審議会でも、将来の年金給付水準の維持について議論が続いており、老後の生活資金に対する国民の不安は高まる一方です。

このような背景の中、公的年金に頼るだけでなく、ご自身の貯蓄や資産運用で不足分を賄う「自助」の必要性が改めて注目されています。

現役世代はもちろん、すでにリタイアされた方も、ご自身の家計状況を改めて把握し、持続可能な生活を送るための計画を見直す時期に来ています。

本記事では、総務省の最新の家計調査から、65歳以上の無職夫婦世帯が実際にどれくらいの生活費を使い、どれくらいの赤字が出ているのかという実態をデータで確認します。

1. 【65歳以上】無職夫婦世帯「ひと月の生活費」は平均でいくら?

一般的に、老齢年金の受給開始年齢は65歳となっています。60歳から65歳までのタイミングで、仕事から完全に引退する人も多いでしょう。

総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、標準的な65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支は次のとおりとなりました。

1.1 収入平均:月額25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円