9月に入り、食品の値上がりに関するニュースをよく目にするようになりました。次の年金支給日までまだ1ヶ月半あるため、今後の家計に不安を感じるシニア世代の方もいるのではないでしょうか。
今回は、厚生年金や国民年金の平均受給額などをふまえ、70歳代の単身世帯の貯蓄実態について解説します。
1. 【70歳代】単身世帯「ふつうの人」の貯蓄は中央値で見る!
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代の単身世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)のうち、金融資産を保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ」状態の世帯の割合は27%という結果がわかりました。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
70歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:27.0%
- 100万円未満:5.1%
- 100~1000万円未満:29.9%
- 1000~2000万円未満:13.6%
- 2000万円以上:22.0%
- 無回答:2.4%
- 《平均》:1634万円
- 《中央値》:475万円
単身世帯とは住まいや生計を一人で維持している人のことを指しますが、そんな70歳代の単身世帯の金融資産の保有状況は二極化している状況がわかります。金融資産を保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ」が27%に対して、金融資産2000万円以上保有の世帯も22%とどちらも全体の2割を超えています。
また平均と中央値の金額にも大きな差があることも注目すべき点になります。平均値はすべてのデータを足して個数で割った値で、中央値はデータを小さい順に並べたときに真ん中にくる値のことです。
平均値の1634万円は、一部の貯蓄額が非常に多い人が平均を大きく引き上げていると考えられます。そのため、多くの人にとっての現実的な貯蓄状況は、平均値よりも中央値の475万円のほうが近いといえるでしょう。つまり、70歳代の単身世帯の「ふつうの人」の貯蓄額は475万円くらいということになります。