今年も暑い日が続き、電力消費量の増加に伴う電気代の高騰が家計に重くのしかかっています。食料品をはじめとする物価の上昇も止まらず、日々の生活を守るためにも家計の収支を見直している方は多いのではないでしょうか。

特に、将来の生活を支える年金については、その受給額がいくらになるのか、漠然とした不安を抱えている方もいるかもしれません。

年金は、原則として2ヶ月に1回、偶数月に支給されますが、その金額は人それぞれです。正確な受給額を知るには、定期的に送られてくる「年金振込通知書」で確認するのが最も確実な方法です。

しかし、この通知書に記載されている金額がそのまま手元に入るわけではないことは、意外と知られていません。

本記事では、公的年金制度の基本的な仕組みから、最新のデータに基づく平均受給額、そして「年金振込通知書」の見方まで、年金に関する大切なポイントをわかりやすく解説します。

1. 公的年金制度を「しくみ図」で解説

年金制度はなんとなく複雑な印象があるかもしれませんが、以下のしくみ図をイメージするとわかりやすくなります。

日本の公的年金制度は「2階建て」

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

このうち、1階部分に位置するのが国民年金。基礎年金と呼ばれることもあります。

加入対象は日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人で、年金保険料は全員一律(※1)です。

加入して受給資格を満たせば、将来は基礎年金が受け取れます。このうち老後の年金は老齢年金となり、保険料を40年間欠かさず納めれば満額(※2)の老齢基礎年金が受け取れます。

※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円

そして、2階部分に位置するのが厚生年金です。

加入対象は会社員や公務員、パート・アルバイトで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人など、第2号被保険者となります。

年金保険料は収入に応じて決まり(※4)、給与からの天引きで納付します。

老後の年金として老齢厚生年金が受け取れますが、受給額は加入期間や納めた保険料により個人差があります。

※3 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

次章では、現在順次送付されている「年金振込通知書」について解説します。