資産運用初心者の方にも役立ちそうな無料セミナーに参加してみる企画の第一弾として、2015年9月25日、三井住友アセットマネジメント(以下、SMAM)の「始めよう投資信託セミナー」に参加してきました。

セミナー参加者は資産形成層

セミナーは金曜日の夕方から、横浜中華街の近くのホテルで開催されました。決して中華街で一杯飲んでいたわけではないのですが、不覚にも5分遅刻での会場入りです。すでに、個人投資家がメモを取りながら講師の説明に聞き入っていました。参加者の年齢層は30~40代とみられ、男女比は半々。この時点で証券会社主催の投資セミナーと、ずいぶん雰囲気が違います。参加者が若く、女性が多いのです。

大手証券会社が主催する投資セミナーの場合、参加者の大半はシニア世代です。資産がある人たちを集めて、資産を増やす・守るための金融商品、節税、相続についての情報を提供するのが、大半の大手金融機関が今も昔も取り組んできたことです。

これまで証券アナリストとしてありとあらゆる投資セミナーを見てきた筆者ですが、よくよく考えてみると、これから資産を増やしていく“資産形成層”に特化したセミナーに本腰を入れている大手金融機関はまだ限られていると、改めて感じました。

セミナーの内容は超草食系

セミナーの内容は、これから資産運用を始める方向けに、以下のような基本事項を、事例を交えながら丁寧に解説するもので、自社商品(投信など)のアピールすらありませんでした。「来年の日経平均は25,000円」、「注目銘柄はトヨタ」といった声が飛びかう株式セミナーが肉食系だとすると、自社商品のおすすめやアピールも行わないSMAMのセミナーは超草食系と言えそうです。

  • 投資信託の基準価額・純資産総額の見方
  • 投資信託のコスト
  • リスクとは何か
  • リスクの軽減手法(長期投資、分散投資、積立投資)

上記に列挙した事項そのものは、多くの書籍やウェブサイトでも知ることのできるものであり、特別感はありません。ただ、1つ1つの説明に対する論拠が明確に示されて、具体例とともに説明される点は、これから資産運用を始める方が最初に正しい知識を身に着ける上で、とても有用だと感じました。

一例として、「長期投資によるリスク軽減」に関する解説を紹介します。下表はセミナーの中で実際に紹介されたもので、株価指数の代表例であるTOPIX(東証株価指数)の保有期間別の年平均収益率を示しています。

1年間の保有であれば、+65%から▲45%まで、極めて振れ幅が大きくなりますが、5年、10年の保有になると変化率が小さくなることが分かります。「長期投資をすべき」との論調は多く見られますが、納得感のあるデータに基づいて丁寧な説明を得られる機会は意外に少なく、多くの参加者がメモを取っていた部分です。

SMAMでは1年間に100回の無料セミナーを計画(参考:セミナーカレンダー)しているとのことで、筆者が参加したのはその38回目でした。正しい知識を手っ取り早く学べる機会だと思いますので、興味がある方はのぞいてみるのも良いかもしれません。

LIMO編集部