物価高に加え、税金や社会保険料の負担増が続き、家計への圧迫は年々深刻化しています。

中には、最低限の生活すら維持することが難しい世帯もあり、その場合は「生活保護制度」の対象となるケースがあります。

生活保護にはいくつかの扶助があり、そのうち食費や光熱費など日常生活に必要な費用を補う目的で支給されるのが「生活扶助」です。

この生活扶助の中でも、寒冷地での暖房費など冬季特有の負担を軽減するために設けられているのが「冬季加算」となります。

本記事では、冬季加算の制度概要や加算額の算定方法、支給額の目安について詳しく解説します。

さらに、エアコンの買い替えが生活保護の支給対象となるのか、厚生労働省の見解や自治体の対応についても見ていきましょう。

1. 生活保護の受給者は約200万人

厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年5月分概数)の結果を公表します」によると、生活保護の受給者は199万861人、世帯数で見ると164万5756世帯となっています(2025年5月時点)。

生活保護の被保護者調査(2025年5月分概数)1/3

生活保護の被保護者調査(2025年5月分概数)

出所:厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年5月分概数)の結果を公表します」

世帯別に見ると「高齢者世帯」が55.3%を占めており、その内の大半が「単身世帯」となっていることがわかります。

2. そもそも生活保護とは?冬季加算の概要も

そもそも生活保護とは、生活に困窮する人に最低限の生活を保障する制度です。

その中で「生活扶助」は日々の生活費(食費・光熱費など)を支援する給付ですが、冬季の光熱費増加を考慮し、追加で支給されるのが「冬季加算」です。

冬季加算は、寒冷地に住む生活扶助受給世帯を対象に、地域や世帯人数に応じて支給されます。

支給期間は地域ごとに異なり、寒さが厳しい地域(Ⅰ~Ⅱ区)では 10月~4月までの7か月間、それ以外の地域(Ⅲ~Ⅵ区)では 11月~3月までの5か月間となります。

  • Ⅰ区 北海道・青森県・秋田県
  • Ⅱ区 岩手県・山形県・新潟県
  • Ⅲ区 宮城県・福島県・富山県・長野県
  • Ⅳ区 石川県・福井県
  • Ⅴ区 栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県
  • Ⅵ区 その他の都道府県

3. 冬季加算額の決まり方

冬季加算の金額は、主に以下の要素で決定されます。

  • 地域区分(寒冷度によりⅠ~Ⅵ区に分かれる)
  • 世帯人数(人数が増えるほど加算額も増加)
  • 年齢
  • 級地区分

一例として、Ⅰ~Ⅵ区までの冬季加算額を見てみましょう。

Ⅰ区では、単身世帯の加算額が月額1万2780円、3人世帯では月額2万620円となっています。

一方、Ⅵ区では、単身世帯が2630円、3人世帯が4240円となっており、Ⅰ区とⅥ区で大きな差があることがわかります。

なお、特定の条件(重い障害や病気で外出が困難な場合、乳児がいる場合など)を満たすと、加算額が1.3倍になる「特別基準」が適用されます。

4. 生活保護に「夏季加算」はなし。エアコンの購入は保護対象になる?

地球温暖化や猛暑の影響で熱中症リスクが高まる中、生活保護世帯への冷房代やエアコン購入費の加算制度が注目されています。

しかし、現行制度には「冬季加算」はあるものの「夏季加算」はありません。

厚生労働省「生活保護世帯におけるエアコン購入費用に関する取扱い等について(周知)」から、厚生労働省の見解を見ていきましょう。

4.1 厚生労働省の見解

厚生労働省は生活保護世帯のエアコン購入について、次の方針を自治体に通知しています。

  • エアコンを含む日常生活に必要な生活用品は、保護費のやりくりで計画的に購入することが原則
  • やりくりが難しい場合は、生活福祉資金貸付制度を活用できる
  • 特別な事情がある場合に限り、自治体判断で購入費用の支給が可能

つまり、支給の可否や範囲は自治体の裁量によります。

4.2 地方自治体の助成例

一部自治体では厚労省の通知を踏まえ、エアコン購入費を助成しています。

  • 東京都練馬区:上限11万1000円(本体7万3000円、工事費3万8000円)
  • 東京都中央区:上限10万円(本体6万7000円、工事費3万3000円)※いずれも税込み
  • 名古屋市:上限9万2000円※税込み(工事費含む)

助成条件や金額、受付期間は自治体ごとに異なるため、必ず最新の公式情報を確認しましょう。

5. 冬季加算は重要な支援制度

冬季加算は、寒冷地に暮らす生活保護受給者にとって欠かせない支援制度です。

特に近年はエネルギー価格の高騰が続いており、暖房費の負担軽減において重要な役割を果たしています。

一方、地球温暖化や猛暑の影響で熱中症リスクが高まる中、夏季加算は設けられていませんが、自治体によってはエアコン購入費を助成する制度を設けているところもあります。

助成の有無や上限額、対象条件は地域ごとに異なるため、お住まいの地域の公式情報を確認してみましょう。

参考資料

加藤 聖人