ビジネスの現場では生産性向上が鍵とされていますが、個々人が生産性(創出価値/投入時間)を上げているか反省すべき面もあるかもしれません。知的生産に従事するホワイトカラーは本当に価値を生んでいるか、仕事は真面目で丁寧だが価値のない仕事をたくさんやってはいないか等々、改善の余地はあるでしょう。

日本型経済システムや日本人に対して薄らぐ関心

結果、平成の経済的停滞に甘んじる日本から新興アジアに来た人間としては、ここ10年間ほどで日本型経済システムや日本人に対する関心が薄らいできているような気がしてなりません。

2001年以降、時折、日本政府のODA予算を活用した金融・産業振興関連の調査・コンサルティング案件に従事してきたのですが、途上国政府やカウンターパート機関(現地中央銀行や金融機関等)の感覚が変わってきたようにも感じます。

以前は、高度経済成長を実現した日本型産業振興モデル、中小企業施策、金融政策、銀行審査モデル等々に関する詳細な説明を求められ、それに真摯に答えることで喜んでいただいたと記憶しています。

日本の政策・施策が素晴らしかったゆえに日本経済が発展できたという一種のバイアスがあったようにも感じますが、それはさておき、今、平成の日本経済の停滞を見ると、それほどでもなさそうだと思われているようです。もはや日本での経験や知識が以前ほど価値を持たなくなってきています。

親日国の代表格ベトナムですら変化の兆し

一つの例として、今月、4年ぶりに訪れたベトナムの状況についてお伝えします。

今月10日、シンガポール拠点のグローバルな金融情報プロバイダーであるThe Asian Banker主催による「The Future of Finance」というイベントがベトナムのハノイ市で開催されました。

参加者は地場金融機関の経営陣・中堅幹部・デジタルバンキング担当者、国内外のIT企業・フィンテック企業、ベトナム金融当局等、約200人を超えました。

私は当日、パネリストとして登壇し、また前日は中堅幹部銀行員向け1日ワークショップを担当してSMEバンキングにおける人工知能/機械学習/データアナリティクス等の活用について幅広く議論しました。