海外で仕事をしていて「日本人で本当に良かった」と思うのは、世界最強パスポート(注1)と日本人に対する漠然とした信頼感です。しかし、最近は親日国の多い東南アジアでも、その2点以外はあまりアドバンテージを感じられません。
注1:「日本のパスポートが世界最強、シンガポール抜きトップに」(CNN)
平成とは日本経済の没落の時代
私は平成2年4月に社会人生活をスタートしましたので、職業人生を振り返れば、「平成」とはどんな時代だったかという話につながります。一つ象徴的な数字をあげるとすれば、やはり名目GDP(米ドル建て)の推移でしょう。
平成2年度の名目GDPは3兆1,328億ドル、平成30年度(IMF推計)は5兆706億ドルとなっています。平成6年度には4兆9,070億ドルでしたので、日本経済の長期停滞が見て取れます。お隣の中国をはじめ高い経済成長を達成する国が多い中、一人負け状態の日本は世界における経済的地位が急降下しています。
デフレが元凶でしょうが、日本人は一体何を間違い続けてきたのでしょうか? よく人口減少と言われますが、総人口は平成2年度1億2,328万人、平成32年度推計は1億2,410万人 と、ほとんど変わりません(注2)。
注2:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)
一つの背景には、昔はうまく機能していた日本的制度の裏の方、つまり官僚支配、計画経済型自由主義経済、日米同盟が劣化したことがあるかもしれません。
いつの間にかアベノミクス祭りも終焉したようですし、政治家や官僚が主導する東京オリンピックや大阪万博やクールジャパンという空騒ぎはともかく、1980年代末から開業率が廃業率を下回る状況が続き、もはや経済活性化の処方箋は限られてきたようで心配です。