4. 現役時に考えておきたい「老後の就労」について
「低年金」や「老後2000万円問題」が話題となる現代において、老後の生活のために働くシニアが増加傾向にあります。
実際に、総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によると、2023年時点で65〜69歳の就業率は52.0%、70〜74歳では34.0%に達しており、シニア層の就労率は年々増加傾向にあります。
これらのデータから、多くの高齢者が就労を継続する道を選んでおり、「働けるうちは働いて生活費を補う」といったスタイルが一般化しつつあることがうかがえます。
ただし、一定の収入を超えると「在職老齢年金制度」により年金の一部が減額されるため、その点には注意が必要です。
最後に、この在職老齢年金制度の仕組みと、2026年度における支給停止の基準額について詳しく確認していきます。
4.1 在職老齢年金の支給停止調整額は2026年度から「62万円」へ
在職老齢年金制度とは、年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている場合に、一定の収入を超えると年金の一部または全額が支給停止となる仕組みです。
この支給停止の判断基準は、「労働による収入」と「年金の月額」を合算した金額に基づき、「支給停止調整額」として設定されています。
厚生労働省の発表によれば、2025年度(令和7年度)の支給停止調整額は51万円とされています。
また、今後は「高齢者の就労を後押しする」という方針のもと、この基準額が月50万円から62万円へ引き上げられる予定であり、年金を減らされることなく働ける環境が整いつつあります。
老後も働くことを検討している方は、年金がどの程度まで支給されるかを事前に把握するためにも、就労収入と年金額を踏まえたシミュレーションを行っておくと安心です。