秋の風が心地よい季節になりはじめつつも暑さが残る9月。秋といえば来月10月15日に今年5回目となる年金支給日があります。筆者は元信用金庫職員ですが、偶数月の15日は、窓口やATMに年金を引き出しに来店されるお客様が多かったことを思い出します。

多くのシニア世代にとって日々の暮らしを支える公的年金は欠かせないものです。そんな年金ですが、受け取る年金額は、働き方や現役時代の年金加入期間によって一人ひとり異なります。今回は、公的年金制度の根幹である「国民年金と厚生年金」の仕組みを分かりやすく解説し、年齢別の平均年金月額をデータで見ていきます。

1. 【みらいの年金】制度の見直しでどう変わる?

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。

この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。

また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。

今回の改正の主なポイントを、全体像とともに見ていきましょう。

1.1 主な改正内容

社会保険の加入対象の拡大

  • 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

  • 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

その他の見直し

  • 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
  • iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど私的年金の見直し

これらの改正内容からも分かるように、公的年金は単に「老後の受給額」だけではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、さらには人生設計そのものと深く関わる制度なのです。