4. 【国民年金と厚生年金】基礎控除改正で手取りは増える?還付のポイント

「令和7年度税制改正」により、所得税の基礎控除額が改定されました。

これに伴い、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の「158万円未満」から「205万円未満」に引き上げられました。(65歳未満は現行の「108万円未満」から「155万円未満」に引き上げ)

令和7年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎控除額は以下の通りです。

4.1 【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」

65歳以上

  • 2025年12月の精算時
    • 公的年金等の月割額×25%+10万円(16万5000円未満となる場合は、16万5000円)
  • 2025年の各月の年金支払い時
    • 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(13万5000円未満となる場合は、13万5000円)

65歳未満

  • 2025年12月の精算時
    • 公的年金等の月割額×25%+10万円(12万5000円未満となる場合は12万5000円)
  • 2025年の各月の年金支払い時
    • 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(9万円未満となる場合は9万円)

4.2 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」

この改正により、2025年12月の年金支払い時に「1年間の最終的な税額」と「それまでに源泉徴収された税額」との間で精算がおこなわれ、過払い分が生じていた場合は、その差額が還付されます。

5. 【国民年金と厚生年金】制度を知り、不安を安心に変える一歩をふみだす

今回は、公的年金のしくみや今年度の税制改正による年金への影響など解説しました。

国民年金のみの受給だと、平均月額は5万円台。厚生年金を含めても14万円台と、年金収入だけでゆとりのある生活を送るのは難しいかもしれません。しかし、この問題は決してシニア世代だけの話ではありません。今の現役世代が年金を受け取る頃にも同じような課題に直面する可能性は非常に高いでしょう。

だからこそ、早めに年金の仕組みを理解し、自分の年金がいくらもらえるのかを把握しておくことが大切です。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の見込み額を確認し、早めに対策を始めることで、将来の漠然とした不安を減らすことができます。年金は「知ること」からはじまります。正しい知識を身につけて、将来への不安を安心に変える一歩をふみだし、自分らしい老後への備えをはじめましょう。

参考資料

鶴田 綾