9月になり、暑さも少しずつ和らぎ過ごしやすい季節になりました。一方で、食料品や日用品は値上げラッシュが止まらず、家計への負担はますます増しています。
特に高齢者世帯にとって、物価高は生活に直結する大きな問題です。現役世代が老後を考える上で、この物価高がもたらす影響を無視することはできません。
今回の記事では、2024年の家計調査データをもとに、現在のシニア世代が直面している家計の現実と、その中で見えてくるお金の動きを詳しく見ていきましょう。
平均的な年金受給額や、多くのシニア世帯が抱える毎月の赤字額、さらには資産運用への関心の高まりなど、知っておくべき重要なデータが満載です。
1. 65歳からの生活費、ひと月いくら?
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)
収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支
- ひと月の赤字:3万4058円
- エンゲル係数:29.8%
- 平均消費性向:115.3%
この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。
収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。