4. 2024年の消費者トラブルによる被害額は9兆円という結果に

日々消費活動を行うみなさんにとって、決して遭いたくないトラブルが「消費者トラブル」。

しかし、2025年6月に公表された令和7年版「消費者白書」によると、2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9兆円にのぼることがわかりました。

消費者被害・トラブル額の推計結果(新手法による算出)

消費者白書

出所:消費者庁「令和7年版消費者白書」

なお、2020年からの推移は下記のとおりです。

4.1 消費者被害・トラブル額の推計結果(既支払額・信用供与を含む。)

  • 2020年:約3.6兆円
  • 2021年:約5.6兆円
  • 2022年:約6.0兆円
  • 2023年:約7.9兆円
  • 2024年:約9.0兆円

2024年の金額が近年最高額となっていることがわかりました。

なお、既支払額(信用供与を含む。)ベースでの消費者被害・トラブル額の推定額は約9.0兆円ですが、この数字には誤差が含まれており、同基準の消費者被害・トラブル額は95%の確率で8.5~9.6兆円の幅の中にあると推定されています。

また推計結果の推移をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込みの影響が考えられる2020年の約3.6兆円を除いて、だいたい5兆円から6兆円で推移していました。しかし、近年は増加傾向にあることが見て取れます。

また、消費者被害・トラブル額の推計結果の算出方法には、新手法と旧手法の2種類があります。

同白書によると、「旧手法」では、消費者生活相談情報(PIO-NETデータ)に含まれる、1億円以上の極端に高額な案件も推計に含められていました。

そのため、発生自体が稀な高額案件が、推計全体に実態以上に大きな影響を与える可能性がありました。

そこで「新手法」では、消費者被害・トラブル額の推計は、1億円未満のデータに基づき行うこととし、相談案件が1億円以上のトラブルについては、推計には含めず、件数と総額を推計値に併記する形を取っています。

この新しい手法により、ごく一部の極端なデータが推計全体に影響を与えることを防ぎ、また実態により即した推計となりました。

なお、旧手法による2024年の消費者被害の推計額(既支払額)は9.6兆円と、新手法よりも金額が多くなっていることがわかります。

消費者被害・トラブル額の推計結果(旧手法による算出)

消費者白書

出所:消費者庁「令和7年版消費者白書」

いずれにしても、最新の数字で9兆円にのぼる莫大な金額が被害・トラブル額として推計されている現在、消費者庁は誇大広告や偽表示を行う通販業者への行政処分、SNS広告による詐欺的副業の注意喚起など、迅速な対応を取っています。

参考資料

長島 迪子