この記事の読みどころ

  • 9月8日(火)14:00発表予定の景気ウォッチャー調査は要注目です。
  • 景気ウォッチャー調査の結果は、TOPIXと相関の高い経済指標です。
  • 8月DI(ディフュージョン・インデックス)が景況感の節目となる50.0を引き続き上回るかがポイントです。

9月8日(火)14:00発表予定の景気ウォッチャー調査に注目

今週、9月8日(火)14:00に発表予定の景気ウォッチャー調査は、TOPIXとの相関性も高いためチェックしておきたいところです。

この景気ウォッチャー調査は、内閣府が実際の景気動向を敏感に感じている人々を対象に調査したものです。経済指標というと、単なる数値の寄せ集めに過ぎず、実体経済を反映していないのではないかとの懸念があります。そこで、実体経済の現場で働く人々の生の声を反映させた統計を作成しようということで生まれたのが、この景気ウォッチャー調査です。

景気ウォッチャー調査は株価水準の判断材料にも使える

景気ウォッチャー調査が開始された2000年1月以降の現状判断DI(ディフュージョン・インデックス)とTOPIXを比較すると、高い相関がうかがえます(下図参照)。景気ウォッチャーの結果は翌月発表(例:9月8日に発表されるものは8月分)なので、株価より遅行するのですが、実体経済の景況感と比較して、株価が高すぎる(あるいは低すぎる)といった、株価水準を考える上での判断材料の1つとしても使えます。

なお、8月の市場予想は52.0となっており、7月の51.6と同水準で予想されています。

今後、景況感の節目となる50を下回る水準を割り込んだ場合、株価下落の思惑が市場に広がるでしょう。一方、DIが市場予想を上回れば、日本経済の先行き見通しに対する支援材料となり、株価を下支えしていくでしょう。

特に、アクティブ型・パッシブ型(インデックス型)や、ブル・ベア型の投資信託に関心の高い個人投資家の皆さんは、毎月上旬に発表される景気ウォッチャー調査に注目していただきたいと思います。

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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】景気ウォッチャー調査の基礎知識

そもそも、景気ウォッチャー調査とは

景気ウォッチャー調査は内閣府の管轄です。内閣府が全国の民間調査機関に委託し、毎月25日から月末にかけて調査を行い、翌月上旬に公表されます。公表される内容は幅広いのですが、株式市場では、景況感が数値化されたDI(ディフュージョン・インデックス)という数値に注目が集まります。

調査は、家計動向、企業動向、雇用などを肌で感じている業種の人々から、全国で2,050人を選出し、アンケート形式で行われます。回答者は、前月と比較して、景気が「良くなっている」:1、「やや良くなっている」:0.75、「変わらない」:0.5、「やや悪くなっている」:0.25、「悪くなっている」:0を回答します。

アンケートの回答で得られた数字に、各回答区分の構成比を掛け合わせて算出されるのがDIです(DIは現状と先行きの2種類があります)。メディア等で「街角景気指数」として報道されるのがこのDIで、50を超えていれば前月よりも景況感が改善していることを意味するため、「DIが50を超えるか否か」が最も重要なポイントとなります。また、「前月比でDIがどう変化したか」も景況感の変化を読み取る上で、重要なポイントです。

景気ウォッチャー調査に記載されている各業種のコメントもチェックしてみよう

景気ウォッチャー調査では、「家計動向関連」、「企業動向関連」、「雇用関連」といった分野毎の動向を把握できますが、さらに地域毎に見ることもできます。

また、「プレミアム付き商品券の利用スタートから現在まで、売り上げ・来客数ともに増加傾向にある」(東北・スーパー)、「猛暑日が増えたことで、エアコン等冷房関連がけん引」(四国・家電量販店)、「客の価格に対する感度は上がってきている。牛肉の売れ行きが悪く、豚肉、鶏肉へのシフトが進んでいる」(近畿・スーパー)といった回答者の生々しい声を知ることもできます。研究好きな方は、ぜひ参考にしてみてください。

※元データの確認は、内閣府のウェブサイトをご参照ください。

岡野 辰太郎