お盆休みや夏の旅行で地方を訪れ、「将来ここで暮らしてみたい」と憧れを抱いた方も多いのではないでしょうか。とはいえ、移住を考えると真っ先に気になるのはやはりお金の問題です。

最新の調査では、東京と地方の生活費の差は月6万円近くにもなります。一方で、厚生年金の平均受給額には男女で大きな差があり、老後の家計に直結します。本記事では、この年金額と生活費の実態をもとに、地方移住や老後設計を考えるうえで役立つ情報をお届けします。

1. 厚生年金の平均額は男女で月6万円差

厚生労働省のデータをもとに「みんなの年金はいくらか」厚生年金と国民年金を合わせた年金受給額についてみていきましょう。

「厚生年金+国民年金」年金月額階級別の老齢年金受給権者数(男女別)1/3

「厚生年金+国民年金」年金月額階級別の老齢年金受給権者数(男女別)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金の金額を含む

男性と女性の平均年金月額には約6万円の開きがあります。これは、女性の就業歴が短い傾向や、非正規雇用比率の高さが影響していると考えられます。特に育児や介護による離職・時短勤務などで、厚生年金加入期間が短くなるケースが多いのが実情です。

また、年金月額と受給者数の分布を見ると、男性は15万〜20万円台に集中している一方、女性は8万〜12万円台が厚い分布となっています。このように、現役時代の働き方や雇用形態の違いが、老後の年金額に直接反映されているのです。

2. 東京と地方で生活費に月6万円近い差

保険比較サービス『オカネコ保険比較』運営の株式会社400Fは2025年2月、全国の『オカネコ』ユーザー488人を対象に「東京と地方の家計調査」を実施しました。この調査は20歳以下から60歳以上と幅広い年齢層が回答をしています。

生活費の比較からみていきます。1か月の生活費には「住宅費・保険料・通信費・水道光熱費・車関連費・サブスクリプション費」などが含まれています。

①単身世帯

  • 東京:約14万4000円
  • 地方:約8万5000円

②夫婦/パートナー同居世帯

  • 東京:約19万9000円
  • 地方:約14万円

どちらの世帯構成でも東京と地方の間には約6万円の生活費の差があることが明らかになりました。次に、住居費の比較もみていきましょう。この住居費は主に家賃や住宅ローンの月々の支払額が含まれています。

2.1 【住宅費】「夫婦で地方に住むより東京に住む方が約2倍かかる?!」

①単身世帯

  • 東京:約8万5000円
  • 地方:約4万円

②夫婦/パートナー同居世帯

  • 東京:約12万5000円
  • 地方:約6万円

単身世帯では4万5000円の差となり、夫婦/パートナー同居世帯ではほぼ2倍の差という結果に。先にあげた生活費には「住宅費」も含まれているので、東京の「生活費」の大部分を「住宅費」が占めているということがわかりますね。

ここまでだと、東京に住む方がお金がかかるように見えますが、地方には見落とされがちな支出もあります。その代表的なものが「車にかかる費用」です。地方では車が生活必需品となる傾向が強いからです。また、車以外にも暖房費など地方ならではの見落としがちなコストも考慮に入れる必要があります。

3. 老後資金は「年金と生活費の差」がカギ

「今回のデータから、厚生年金の平均額には男女で月約6万円の差があり、さらに東京と地方では生活費にも月6万円近い差があることがわかりました。老後の生活資金を考える際は、年金額だけでなく、住む地域の生活コストも重要な要素です。

年金生活で住むなら一般的に、住居費など固定費の差が大きいため、地方の方が年金生活でのゆとりは確保しやすい傾向があります。ただし、車の維持費や寒冷地の暖房費など地域特有の支出も忘れずに見積もることが大切です。また、医療や買い物などの利便性も考慮に入れる必要があります。「年金」と「生活費」の両方から、自分らしい老後をデザインしていきましょう。

参考資料

村岸 理美