3. 預貯金の払戻し制度を活用するメリット

預貯金の払戻し制度を有効活用することにより、遺産分割協議の完了を待たずに、当面必要な資金を確保できます。これにより、遺産分割協議が長期化しても、すぐに必要な現金を用意できます。

たとえば、「お金の管理を亡くなった方に任せていた」という方は、自分の保有財産が心許ない場合が考えられます。葬儀費用や病院への支払い、四十九日法要の費用などの支出に対応できず、また自身の生活費も不足してしまう事態になりかねません。

預貯金の払戻し制度を活用すれば、急な出費のために借金をする事態を防げるでしょう。

また、相続人が当面の資金不安から解放されることで、冷静で建設的な遺産分割協議がおこなえる効果も期待できます。経済的なプレッシャーがあると遺産分割協議が感情的になってしまう可能性がありますが、心理的なゆとりが生まれることで、余裕を持って話し合えるでしょう。

4. まとめにかえて:制度を正しく理解してスムーズな相続を

預貯金の払戻し制度は、相続発生時の資金不足問題を解決する重要な制度です。銀行口座の凍結により生活に支障をきたす事態を防ぎ、葬儀費用や医療費などの緊急支出に対応できます。

金融機関窓口で戸籍謄本や印鑑証明書などの書類を提出すれば、お金を引き出せます。借金による利息負担を回避でき、相続財産の実質的な保全につながるでしょう。

葬儀費用や当面の生活費が不足してしまうリスクがある場合は、預貯金の払戻し制度の存在を知っておきましょう。

参考資料

柴田 充輝