本格的な夏に差し掛かり、エアコンが不可欠になるなど、何かとお金がかかる季節です。物価上昇が止まらず、生活に必要なお金が増えている昨今は、貯蓄や将来の老後資金について考える良いタイミングでもあります。

年金額は、物価や賃金の変動に応じて年一回改定されます。2025年度の年金額は1.9%増額されましたが、物価上昇率に対して追い付いていないのが現状です。年金受給世帯は、年金で生活費を賄えているのでしょうか。

本記事では、70歳代の貯蓄金額がどれくらいあるのか紹介します。また、厚生年金・国民年金の平均年金月額と、シニア世代の家計収支平均についても解説します。確認した内容をもとに、老後資金のやりくりについて考えてみてください。

1. 平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳 「健康寿命」との差はどれくらい?

厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表」によると、現在の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(2023年時点)です。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。

では、シニア世代で仕事をしている人数はどれくらいなのでしょうか。

総務省が公表した「2024年(令和6年)労働力調査」によると、全就業者数は6781万人と前年と比べて34万人増加しています。

そのうち15~64歳の就業者数は5851万人となっており18万人の増加、65歳以上の就業者数は930万人となっており前年に比べて16万人も増加しています。

全体として労働者が増えており、シニア世代の労働者は前年比1.7%と増加しています。

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

出所:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

働くシニア世代が増えているものの、健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳となっています(2022年時点)。

平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳ですから、健康寿命と平均寿命には男性8.52歳、女性11.69歳の差があります。

働くシニア世代が増えていることは良い傾向ですが、健康面での問題が起きると、元気に働き続けることが難しくなる可能性があります。その場合、医療費や介護費用が必要となることが考えられます。

貯蓄がある程度確保されていれば、働かなくても大丈夫だという安心した気持ちを持って生活できるため、前もって貯蓄ができていると良いでしょう。

では実際に、70歳代世帯がどのくらい貯蓄してしているのでしょうか。J-FLEC(金融経済教育推進機構)データを見てみましょう。