3. 「厚生年金・国民年金」の平均年金月額はいくらか
では、年金の平均額はいくらでしょうか。厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をより現代シニアの平均年金月額を確認しましょう。
3.1 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
3.2 国民年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
あくまで平均であり、はじめに確認したように現役時代の加入状況により個人差が大きくなっています。国民年金のみか、厚生年金に加入する働き方をするか、厚生年金なら収入を上げるか(上限あり)などを考える対策することで、老後の年金受給額は変わります。
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」では、パートの方の社会保険適用の拡大が決まりました。
3.3 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
パートの方が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上
- 従業員数51人以上の企業で働いている
今回の改正により、4と5が撤廃される予定であり、4のいわゆる「106万円の壁」は3年以内に、社会保険に加入する企業の規模は10年かけて段階的に拡大される予定です。
時代に合わせて制度も変化しますので、情報収集を重ねながら現役時代の働き方を検討してみるといいでしょう。
4. 貯蓄が必要な理由
シニアの貯蓄をみると、60歳代も70歳代も5世帯に1世帯が金融資産非保有だということがわかりました。ここで、貯蓄がなぜ必要なのか今一度考えてみましょう。
欲しいものの購入や旅行、趣味などのほかにも教育費、車の維持費、家電の購入費など何かとまとまったお金はかかるもの。
もう一つ忘れてはいけないのが、事故やケガなどに備える目的です。年齢を重ねると想定外の病気にかかり、突発的な医療費が発生する可能性もあります。貯蓄がすべてではありませんが、今日この瞬間から少し意識してみるといいかもしれませんね。
貯蓄を増やしたい場合は、以下のことを実践してみることをおすすめします。
- 家計の把握
- 支出の見直し
- 収入の増加
余裕がある場合は、資産運用も検討してみましょう。ただし、リスクがあるため、儲かりそうだからといっていきなり始めるのはおすすめできません。
まずは、金融商品ごとの特徴やリスクを調べるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- PGF生命「2025年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
宮野 茉莉子