2025年7月4日、厚生労働省より「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」が発表されました。

これによると、65歳以上単身世帯の割合が年々増えていることがわかります。

65 歳以上の者のいる世帯の世帯構造の年次推移

65 歳以上の者のいる世帯の世帯構造の年次推移

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

いまから約40年前の1986年、65歳以上の人がいる世帯構造として最も多かったのは「三世代世帯」でした。

それから年々その割合は減少し、2024年時点で三世代世帯は6.3%となっています。また見過ごせないのが65歳以上の人がいる世帯構造として「単身世帯」が最も多いということ。2024年時点で32.7%を占めており、夫婦世帯を上回っています。

離別・死別により単身世帯になるケースもありますが、この40年間で着々とその割合が増えていることから、結婚しない生き方を選択する人が増えていることも影響していると考えられます。

老後を単身で迎える場合、経済的な不安はできる限り排除しておきたいものです。では、いまのシニア世代のマネー事情はいかほどなのか。本記事で「家計収支・年金額・貯蓄額」について確認していきます。

1. おひとりさまの老後【65歳以上の単身無職世帯】ひと月あたりの家計収支は?

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。

1.1 65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支

毎月の実収入:13万4116円

■うち社会保障給付(主に年金):12万1629円

毎月の支出:16万1933円

■うち消費支出:14万9286円

  • 食料:4万2085円
  • 住居:1万2693円
  • 光熱・水道:1万4490円
  • 家具・家事用品:6596円
  • 被服及び履物:3385円
  • 保健医療:8640円
  • 交通・通信:1万4935円
  • 教育:15円
  • 教養娯楽:1万5492円
  • その他の消費支出:3万956円
    • うち諸雑費:1万3409円
    • うち交際費:1万6460円
    • うち仕送り金:1059円

■うち非消費支出:1万2647円

  • 直接税:6585円
  • 社会保険料:6001円

65歳以上《単身》無職世帯の家計は…

  • ひと月の赤字:2万7817円
  • エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
  • 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%

この単身世帯の場合、支出の合計は16万1933円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が1万2647円、消費支出が14万9286円です。

一方で、ひと月の収入は13万4116円で、その約9割(12万1629円)を主に公的年金が占めます。なおエンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%となりました。

この結果、ひと月の家計収支は「2万7817円の赤字」になっています。

1.2 「家計調査の結果」には意外な盲点が

先ほど紹介した家計調査の結果には、留意点がいくつかあります。

まず、支出の内訳に「介護費用」が含まれていません。また、住居費も1万円台と低めとなっています。

健康状態や住居環境などに応じて「わが家の場合はどの程度上乗せが必要か」を考えていく必要があるでしょう。

加えて「非消費支出」とある通り、老後の年金暮らしが始まっても、税や社会保険料の支払い義務は生涯続きます。シニアの多くがこうしたお金を年金からの天引きで納めていることも、ぜひ知っておきましょう。