4. 注意点②:加給年金は増額しない
65歳から加給年金を受給する場合、加給年金の金額は繰下げ受給しても増額しません。
加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人に厚生年金加入が20年未満の配偶者がいる場合、本人が65歳から配偶者が65歳になるまで老齢厚生年金に加算される年金です。
子どもに対する加給年金もありますが、配偶者に対する加給年金は最大で年額41万5900円(2025年度)と高額です。
繰下げ受給するまで加給年金は支給されず、受給開始後も加給年金額は増えません。つまり、繰下げ受給すると、1年につき最大で41万5900円も損をすることになります。加給年金の受給期間の長い人(配偶者との年齢差の大きい人)ほど、注意が必要です。
5. まとめにかえて
原則65歳から受給開始する老齢年金を繰下げ受給すると、年金額は1ヶ月あたり0.7%増額します。65歳時の年金月額が15万円の場合、70歳受給開始なら年金額は月21万3000円(42%アップ)、75歳受給開始なら27万6000円(84%アップ)です。
ただし、在職老齢年金により老齢厚生年金が支給停止された場合や加給年金が支給される場合、繰下げ受給しても思ったほど年金額が増えないこともあります。
繰下げ受給時の年金額を試算して、老後対策の1つとして繰下げ受給を検討してみましょう。
参考資料
西岡 秀泰