3. 注意点①:在職老齢年金によって支給停止された年金は増額しない

在職老齢年金によって老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になっている場合、繰下げ受給時の年金額は、前述の計算式で算出した金額より少なくなります。

在職老齢年金とは、給与と年金(正確には標準報酬月額と老齢厚生年金の報酬比例部分など)の合計金額が一定額以上の場合、老齢厚生年金額を減額(支給停止)する仕組みのことです。

老齢基礎年金については、在職老齢年金による支給停止はありません。

支給停止になった金額については、繰下げ受給しても年金額は増えません。

繰下げ待機期間中に在職している場合の増額率

繰下げ待機期間中に在職している場合の増額率

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド令和7年度版」

たとえば、65歳時の年金額が15万円(うち5万円が支給停止)で70歳受給開始(繰下げ60ヶ月)時の年金額は次の通りです。

  • 年金額=15万円+10万円×0.7%×60ヶ月=19万2000円

支給停止がなかった場合と比較すると、年金月額は2万1000円少なくなります。