2.2 厚生年金保険加入者が損をしない仕組み

一方で、厚生年金の積立金を活用することになるため、厚生年金加入者が損をしてしまうのではないかという懸念があるかと思います。

これについては、厚生年金の積立金を基礎年金の底上げに充てることにより、厚生年金のマクロ経済スライド調整が延長され、一時的に厚生年金受給者の給付水準が低下する可能性があります。

しかし、この措置を講じたことにより、もし基礎年金と厚生年金の報酬比例部分の合計額が低下してしまう場合には、その人に対しては影響を緩和するための措置が講じられることになっています。

また、国民年金や厚生年金など、公的年金の保険料は現在の水準が維持され、この制度改正によって引き上げられることはありません。つまり、現役世代の負担が増えるわけではないということです。

3. まとめ

今回の改正法案は、将来の基礎年金の給付水準の低下を防ぎ、年金制度全体の持続可能性を高めることを目的としています。

ただし、実際に積立金を使用した給付水準の引き上げが行われるかどうかは、今後の日本経済の推移により決定し、現段階で実行されることが決まっているわけではありません。

年金制度は複雑で理解しづらい面もありますが、私たちの老後の生活に直結する重要な制度です。

今回の改正内容や、今後の動向をしっかりと理解し、自分自身が受け取る年金の仕組みを知るきっかけとしていただければ幸いです。

参考資料

斎藤 彩菜