2019年米国株式市場展望の後編※では、米利上げ停止を視野に入れた投資戦略と注目の個別銘柄についてまとめます。
※前編はこちら『2019年もテクノロジー株は有望なのか? 注目銘柄と大型IPOを展望する』
利上げスピード減速で高配当銘柄の人気復活へ、金融セクターに妙味
今年は高配当銘柄が投資戦略として見直されそうです。低金利時代に人気を博した高配当銘柄ですが、ここ数年は超低金利から金利水準が上昇してきたことで人気が陰りが見えていました。
しかし、ごく最近になって高配当で知られる一部のセクターのパフォーマンスが好転しており、人気復活を匂わせています。たとえば、S&P500指数の公益事業セクターの年初来リターン(12月13日時点)は約7%で、S&P500指数のマイナス1.4%を大きく上回っています。
GW&Kインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アーロン・クラーク氏は市場全体の利益成長の減速によって、高配当銘柄は有利になると主張しています。
ゴールドマン・サックスはS&P500指数の金融セクターの来年の1株当たりの配当成長率が16%となり、他の全てのセクターを上回ると予想。「配当成長の大半をけん引するのは、今年の第3四半期から2019年の第2四半期末までの1年間(2018年の包括的資本分析=CCARの対象年度)に前年度比27%の増配を実施する米大手銀になるだろう」と指摘しています。
参考:S&P 500 Companies Might Slow Down the Dividend Hikes Next Year(BARRON'S, 12/24/2018)
米利上げ停止でドル安、新興国に熱視線
12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利見通しによると、2019年中に2回の利上げが予想されています。
しかし、12月24日現在のCMEフェッドウォッチによると、2019年中に1回以上の利上げが実施される確率は30%以下となり、ゼロ回が60%強、利下げが10%という状況ですので、市場参加者は2019年中の利上げは無理ではないかと考えているようです。
また、米債券市場では長短金利が逆転して、いわゆる逆イールドが発生しています。逆イールドは景気後退の前兆の一つと考えられており、FRBの利上げ停止観測を後押ししています。
米利上げ停止観測の浮上に伴って、2019年は新興国へ投資すべきとの声が強まっています。ここ数年は、米利上げによるドル高で新興国市場のアンダーパフォームが続いていましたが、米利上げ停止によりこの流れが反転し、新興国のアウトパフォームが期待されているからです。
バロンズが一押しする「2019年に投資すべき厳選10銘柄」
最後にバロンズによる「2019年に投資すべき厳選10銘柄」を簡単に紹介しましょう。10銘柄は、アルファベット、アップル、バンク・オブ・アメリカ、ブラックロック、キャタピラー、シェブロン、ダイムラー、デルタ、エナジー・トランスファー、トール・ブラザーズになります。
アルファベット
RBCキャピタル・マーケッツのアナリストであるマーク・マハニー氏は、グーグルをインターネットの必需品と呼んでいます。同氏およびその他の強気のアナリストの目標株価は約1400ドルとなっています。
アルファベットの株価は1062ドル(12月11日)で、2019年予想の1株当たり利益(EPS)は47ドル、株価収益率(PER)は23倍と妥当な水準に収まっています。
また、1株当たり年3ドルの損失を計上している「アザーベッツ(その他部門)」には、自動運転技術のウェイモが含まれていますが、アナリストの推定によれば同事業は500億ドル以上の価値があるとされています。