金融庁は、2025年7月から「資産運用課」を新設しました。「貯蓄から投資へ」という流れの中で、国として資産形成を後押しする動きがいっそう加速しています。

実際、筆者がマネースクールで講師をしていた際にも、こうした変化を強く感じる場面が多くありました。

そこで今回は、投資で資産形成を始めたいと考えている初心者の方に向けて、まず知っておきたい基本的な知識や考え方を、分かりやすく解説していきます。

1. 【30歳代単身世帯】「まだ投資はじめてない?」約3人に1人が金融資産ゼロ

まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」30歳代単身世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産を保有していない世帯を含む)についてみていきましょう。

※金融資産保有額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

【30歳代】単身世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合1/5

【30歳代】単身世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

30歳代・単身世帯では、金融資産をまったく持たない人が約33%と、3人に1人が「金融資産ゼロ」という結果に。

平均額は459万円であるものの、中央値は90万円と大きな差があり、一部の高額保有者が平均を押し上げています。

「3000万円以上」は3.1%とごく少数いることもわかります。しかし、全体的に金融資産の保有が少ない傾向で、保有者の中で最も多いのは「100万円未満」で15.3%、資産形成がまだまだこれからの層が目立ちます。

このデータを見て「自分もそろそろ資産形成を考えないと」と感じた方はいるのではないでしょうか。

そこでここからは、これから投資で資産形成をはじめたいと考えている初心者の方のために、まず知っておきたい基本的な知識や考え方を解説していきます。

2. 【投資初心者】これから投資をはじめるなら知っておきたい基本的な知識3選

投資で資産形成をする前に知っておきたい基本的な知識や考え方を解説します。

2.1 「元本とリターンの関係」

まず、投資における基本的な考え方として「元本とリターンの関係」について解説します。

元本が多いほどリターンも多い2/5

元本が多いほどリターンも多い

筆者作成

投資で得られる利益(リターン)は、投資する金額(元本)に比例して大きくなる傾向があります。

例えば、同じ「年利1%の期待できる商品」に投資した場合でも、元本が1万円ならリターンは100円ですが、元本が100万円ならリターンは1万円になります。

もちろん、投資にはリスクも伴いますが、まずはこの「元本とリターン」のシンプルな関係性を理解することが大切です。

2.2 投資の魅力を語るうえで欠かせないのが「複利」

次は、「複利」についてです。

複利とは3/5

複利とは

筆者作成

複利とは、

  • 利子を加えた元本にさらに利子がプラスされるしくみ
  • 期間が長いほど複利の効果が出る

という特徴があります。

例えば、年利1%で運用した場合、単利であれば毎年元本に対してのみ利子が付きますが、複利であれば、得られた利子も元本に組み込まれて、次の年の利子は「元本+前年の利子」に対して計算されます。

この小さな違いが、長期で運用すればするほど大きな差となるのが複利のすごいところです。

投資は、この複利の効果を最大限に活用することで、より効率的に資産を増やす可能性が高くなります。

2.3 「今すぐはじめるメリット」後回しにすると投資スタートまで時間がかかる

多くの方が「もう少しお金が貯まってから」とか「もう少し勉強してから」と投資を始めるのを後回しにしてしまいがちで、これは私がマネースクールで講師をしていた際にも強く感じたことです。

「投資」を後回しにすると投資スタートまで時間がかかる4/5

「投資」を後回しにすると投資スタートまで時間がかかる

筆者作成

投資が後回しになり生活費や貯蓄を優先していると、なかなか投資に回せるお金が確保できず結果的に投資スタートするまでに時間がかかってしまいます。

しかし、無理のない少額からでも早く投資をスタートすることで、時間の経過とともに投資で増やすお金の割合を大きくしていくことができます。

投資において「時間」は、複利の効果を最大限に引き出すための非常に重要な要素です。早く始めることで、より長い期間複利の恩恵を受けられ、将来の資産形成に大きな差が生まれます。

3. NISAで月1000円のつみたて投資を30年間続けたらどうなる?

では、たとえばNISAを活用して毎月1000円のつみたて投資を30年間続けたら「将来いくら増えるのか?」金融庁のつみたてシミュレーターを使用して試算しました。なお、想定利回りは年3%で設定しています。

金融庁「つみたてシミュレーター」5/5

金融庁「つみたてシミュレーター」

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

シミュレーションでは、毎月わずか1000円を年利3%で30年間積み立てた場合の資産形成を示しています。

その結果、元本として積み立てた36万円に対し運用益の22万円が増えて、合計で58万円もの資産を形成できることが分かりました。

毎月のお小遣い程度の少額からでも、時間を味方につけることで着実に資産を増やしていける複利の力がわかりましたね。このように、無理のない範囲で早くから投資をスタートすることが重要です。

4. 「小さな一歩」が「大きな未来の結果に」賢く資産を育てていこう

今回は、投資で資産形成を始めたいと考えている初心者の方に向けて、まず知っておきたい基本的な知識や考え方を解説しました。

投資では「元本とリターンの関係」を理解し、「複利の力」を最大限に活かすことが重要であり、そのためにも「今すぐ少額からスタートする」ことが何よりも大切です。

この機会に無理のない範囲で一歩を踏み出し、未来のために賢く資産を育てていくことを検討してはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美