「東京は便利だけど、暑さも家賃も限界…」そんな思いから、自然に囲まれた地方への移住を考える方は少なくありません。実際、国土交通省の調査では、若い世代を中心に「地方で暮らしたい」との声が高まっています。では、東京と地方では生活費にどれほどの差があるのでしょうか? 本記事では、実際の調査データをもとに、月6万円近い生活費の違いと、将来の暮らしを見通せるツール「金融庁ライフプランシミュレーター」の活用法をご紹介します。

1. 【若者の地方志向】20歳代の約4割「地方に住んでみたい」

2023年3月に実施された国土交通省の調査によるとコロナ禍以降、東京圏に住む人々の地方移住への関心が高まっています。特に20歳代では全体平均よりも高い約45%が地方移住に関心を示しており、若年層の地方志向が顕著です。

地方移住への関心の高まり(東京圏在住者の関心度)1/10

地方移住への関心の高まり(東京圏在住者の関心度)

出所:国土交通省「二地域居住等の最新動向について」

つづいて、東京圏に住む人々が地方移住に関心を持つ理由では、「人口密度が低く自然豊かな環境への魅力を感じる」が最も高く挙げられています。

地方移住への関心の高まり(東京圏在住者の関心理由)2/10

地方移住への関心の高まり(東京圏在住者の関心理由)

出所:国土交通省「二地域居住等の最新動向について

また、テレワークにより地方でも同様に働けると感じるようになったことや、都市部での仕事重視から地方での生活重視へのライフスタイルの変化を望む声も多くみられます。

では、実際、東京と地方とでは生活費など「生活にかかるお金」はどのくらい違うのか?次でみていきましょう。

2. 【生活費比較】東京と地方で月に約6万円の差

保険比較サービス『オカネコ保険比較』運営の株式会社400Fは2025年2月、全国の『オカネコ』ユーザー488人を対象に「東京と地方の家計調査」を実施しました。

1か月の生活費(住宅費・保険料・通信費・水道光熱費・車関連費・サブスクリプション費)の比較からみていきます。
まず単身世帯で東京は約14万4000円に対して地方は約8万5000円で5万9000円の差がある結果になりました。また夫婦/パートナー同居世帯では東京が約19万9000円である一方、地方は14万円となっており、こちらも5万9000円の差がでました。どちらの世帯構成でも東京と地方の間には約6万円の生活費の差があることが明らかになりました。

次に、住居費の比較もみていきましょう。この住居費は主に家賃や住宅ローンの月々の支払額が含まれています。

2.1 【住宅費が約2倍】「地方に住むと住まいはどう変わる?」

まず単身世帯は東京で約8万5000円、地方で約4万円で4万5000円の差がでました。そして、夫婦/パートナー同居世帯では、東京で約12万5000円、地方では約6万円となっており、ほぼ2倍の差という結果に。
先にあげた生活費には「住宅費」も含まれているので、東京の「生活費」の大部分を「住宅費」が占めているということがわかります。

ここまでだと、東京に住む方がお金がかかるように見えますが、地方には見落とされがちな支出もあります。その代表的なものが「車にかかる費用」です。地方では車が生活必需品となる傾向が強いからです。また、車以外にも暖房費など地方ならではの見落としがちなコストも考慮に入れる必要があります。

東京と地方では、住居費や車の費用など、生活にかかるお金が大きく違います。将来のお金のことを考えるときは、こうした地域ごとの特徴をよく理解して、自分に合った計画を立てることが大切です。次の章では、将来の家計を具体的にイメージできる「金融庁のライフプランシミュレーター」をご紹介します。

3. 【将来の家計】「理想の暮らし」を数値で確認する方法とは

将来の家計を具体的にイメージするためには、金融庁のライフプランシミュレーターが役立ちます。

3.1 【4つのSTEP】入力項目とは

【STEP1】年齢・年収・職業など基本情報を入力

【STEP1】の入力画面5/10

【STEP1】の入力画面

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」

【STEP2】配偶者の有無・年収・結婚予定などを入力

【STEP2】の入力画面6/10

【STEP2】の入力画面

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」

【STEP3】将来希望する場合、子どもの予定や人数、誕生時期を入力

【STEP3】の入力画面7/10

【STEP3】の入力画面

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」

【STEP4】生活費・住居費・住宅購入予定などを入力

【STEP4】の入力画面8/10

【STEP4】の入力画面

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」

4つのステップを入力するだけですぐに結果が出ますが、入力項目には「わからない」といった選択肢も用意されているため、現在の心境のまま楽な気持ちで入力していくことができます。そして、最後に【シミュレーション結果を見る】をクリックすると、シミュレーション結果が出ます。

シミュレーション結果画面9/10

シミュレーション結果画面

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」

シミュレーション結果について、将来のお金の流れがわかるポイントにそってみていきましょう。

3.2 【シミュレーション結果】確認すべき4つのポイント

将来のお金の流れがわかる確認ポイントは4つ10/10

将来のお金の流れがわかる確認ポイントは4つ

出所:金融庁「ライフプランシミュレーター」をもとに筆者作成

  • ポイント①住宅購入
  • ポイント②教育費ピーク
  • ポイント③退職
  • ポイント④老後生活

シミュレーション結果では、将来のお金の流れを4つのポイントで確認できます。まず「住宅購入の適切な時期」として、大きな支出の山場を見える化し、住宅ローンとのバランスを把握できます。例えば地方移住を検討しているのであれば、それに合わせた住宅購入時期や資金計画をシミュレーションすることも可能です。 次に、もし子どもがいると設定した場合は「教育費の山場」として、進学時期に重なる支出増加に備えるための計画が立てられます。さらに、「退職」時期は「年金中心生活」への転換期として、リタイア後の年金生活への移行を視野に入れた資産の取り崩し方や、退職金などを踏まえたプランニングが可能です。最後に「老後生活」を楽しむために将来の家計を可視化するだけでなく、自分がどこに住み、どんな生活を過ごしているのか具体的にイメージするとよいでしょう。

このシミュレーション結果はあくまで参考となるものです。入力する条件によって結果は変動し、病気や怪我といった不測の事態による出費は含まれていないため、将来を考える上でのヒントとしてご活用ください。

4. 地方移住の生活費の差、「将来の家計」を可視化する重要性

今回は、国土交通省と株式会社400Fの調査結果をもとに、東京と地方の生活費の違いや将来設計のヒントなど解説しました。生活費は月6万円ほど差があり、地方には車代や暖房費といった特有の出費もあります。将来の家計は、ライフプランシミュレーターで可視化できます。理想の暮らしに近づくために、数値で家計を把握することが大切ですね。

参考資料

村岸 理美