夏の暑さが続く8月は、仕事や家事の合間に、これからの暮らしについて改めて考える良いタイミングかもしれません。中でも、老後の生活を支える柱となる「年金制度」については、早めに正しく理解しておきたいところです。

公的年金には、「厚生年金」と「国民年金」の2種類があり、どちらに加入しているか、またその期間によって、将来受け取れる年金額は大きく変わります。

しかし、その仕組みや違いを正確に理解している人は意外と少なく、将来の生活設計に不安を感じている方も多いのが現実です。

本記事では、「厚生年金」と「国民年金」の基本的な仕組みや加入対象、受給の条件について解説するとともに、いまどきシニアの平均受給額もご紹介します。

1. 「公的年金」の仕組みとは

日本の年金制度は「2階建て」と表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。

「国民年金」と「厚生年金」の基本をおさらいしておきましょう。

1.1 1階部分《国民年金》

加入対象者は?

  • 原則として日本に居住する20歳から60歳未満のすべての人(職業や国籍は問わない)

年金保険料は?

  • 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)

老後の受給額は?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分《厚生年金》

加入対象者は?

  • 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)

年金保険料は?

  • 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)

老後の受給額は?

  • 加入期間や納付した保険料により個人差が出る

このように、加入対象や年金保険料の決まり方、老後に受け取る年金額の計算方法など、国民年金と厚生年金ではそれぞれ違いがあります。そのため、現役時代の年金加入状況によって実際に受け取る年金額には個人差が出ます。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

1.3 2025年度の年金支給スケジュール

公的年金は、原則として「偶数月の15日(※5)」に、支給月の前々月分と前月分の2カ月分を合算して支給されます(後払い方式)。

2025年度の「年金支給日」と「支給対象」の年金は以下の通りです。

  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分
  • 2026年2月13日(金):12月・1月分
  • 2026年4月15日(水):2月・3月分

※5 「15日」が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しされる