2. 年金から差し引かれている税金・社会保険料4つ

原則として、年金は65歳から支給されます。年金から差し引かれている税金や社会保険料、また特別徴収される場合の具体的な条件について見ていきましょう。

2.1 介護保険料

介護保険の被保険者は年齢によって分類され、65歳以上の方は第1号被保険者、40~64歳で医療保険に加入している方は第2号被保険者になります。

働いているときの介護保険料は、健康保険組合などの医療保険者が医療保険の保険料と一緒に徴収しますが、65歳以上になり、第1号被保険者になると、原則として年金から天引きされます。

ただし、天引きされるのは、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金の年間受給額が18万円以上の方です。

2.2 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

国民健康保険料

65歳以上になっても、加入している保険制度は変わりませんが、前期高齢者医療制度の対象となり、引き続き保険料の負担が必要になります。

年金から保険料が特別徴収される対象となるのは、65歳以上75歳未満の方(後期高齢者医療制度の該当者を除く)のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金の年間受給額が18万円以上の方です。

なお、国民健康保険料と介護保険料の合計額が、特別徴収の対象となる年金額の2分の1を超える場合は、国民健康保険料は特別徴収の対象とはなりません。※2分の1の判定は、各市区町村が特別徴収に該当するかどうかを審査をする際に行っています。

後期高齢者医療保険料

75歳以上の方、もしくは65歳以上75歳未満の方で一定の障害の状態にあると認定を受けた方が加入するのが、後期高齢者医療制度です。75歳以上になると、今まで加入していた医療制度から自動的に移行します。

保険料が特別徴収のなるのは、老齢年金、あるいは退職、障害や死亡を支給事由とする年金を受給している方で、年間の受給額が18万円以上の方です。

なお、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、特別徴収の対象となる年金額の2分の1を超える場合は、後期高齢者医療保険料は特別徴収の対象とはなりません。※2分の1の判定は、各市区町村が特別徴収に該当するかどうかを審査をする際に行っています。

2.3 所得税額および復興特別所得税額

受け取った年金は、所得税法の雑所得として扱われます。したがって所得税の課税対象となり、年金から源泉徴収することとなっています。

なお、令和7年度の税制改正により、令和7年分以降の所得税において、65歳以上の方の年金が年間205万円までであれば所得税は課税されません。

2.4 個人住民税額および森林環境税額

住民税と森林環境税(※令和6年度から実施)は、65歳以降も引き続き支払う必要のある税金です。

65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給している方で、年金の受給額が年間18万円以上の方は公的年金から住民税が特別徴収されることになります。

上記であげた以外にも、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、住民税および森林環境税の特別徴収は、介護保険料が特別徴収されていることなど、いくつかの条件や注意点があります。