5. 「社会保険の加入対象の拡大」でなにが変わる?短期労働者の加入要件の見直し
現役時代の働き方は、老後の年金に大きな影響を与えます。
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大が盛り込まれました。
いわゆる「106万円の壁」の撤廃に繋がる大きな動きと言えます。
2025年6月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者の人が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)
- 従業員数51人以上の企業で働いている
今回の改正では、このうち「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の撤廃」が盛り込まれました。これにより、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、いわゆる「106万円の壁」が3年以内に廃止されることになります。
また、社会保険に加入する企業規模も、10年かけて段階的に拡大され、最終的には働く企業の規模に関わらず加入するようになります。
6. 将来の安心は、今の準備から
本記事では、国民年金と厚生年金の平均受給額について確認してきました。年金は老後の暮らしを支える大切な収入源です。まずはご自身が将来どのくらい受け取れるのか、正確に把握しておくことが重要です。
特に、年金だけでは生活費をまかないきれないと感じる場合には、早めに備えを始めておくことが安心につながります。近年では、NISAやiDeCoといった資産運用制度を活用し、老後資金を準備する方が増えています。
効率よく備えを進めたいと考えている方にとっては、有力な選択肢の一つになるでしょう。ただし、資産運用は元本保証があるわけではなく、運用成果によって資産が増えることもあれば、減ることもあります。
まずは、自分がどの程度のリスクを許容できるのかをしっかり見極めたうえで、無理のない範囲で準備を進めていくことが大切です。