3. 厚生年金「男女平等とは程遠い」平均年金月額の違い

厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「14万6429円」です。

15万円弱となっており、さらに言うとこの金額には1階部分の国民年金が含まれています。受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。

3.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数

厚生年金の月額受給額を見ると、15万円以上受け取っている人は受給権者全体の47.6%に留まり、過半数に達していません。また、これは厚生年金を受給していない人を含まない数字であり、全体の割合はさらに低いと推測されます。

厚生年金の平均年金月額は男性16万6606円、女性10万7200円で大きな差があることがわかります。これは、厚生年金が加入期間の長さや収入に応じて保険料が決まり、その保険料が年金額に反映される仕組みになっているためです。一般的に、現状として女性は男性に比べて勤続年数が短かったり、育児や介護などでキャリアが中断されたりするケースもあり収入面でも差があったりすることから、年金受給額に影響が出やすいと考えられます。このように、年金制度の仕組みとこれまでの社会構造が、男女の働き方の違いを年金受給額に反映させ、結果として「男女平等」とは異なる受給状況を生じさせていると解釈できます。