来月8月15日は年金支給日。かつて信用金庫に勤めていた筆者は、年金支給日にATMに並ぶお客様の姿を多く見かけました。なかには、通帳を見ながら「もう少し増えないかな」とぽつりと話される方も。そんな日々のやりとりを通じて、「年金だけでは不安」と感じている方は少なくないと実感しました。
今回は、総務省の調査データをもとに、65歳以上・単身無職世帯の家計の実態を解説します。年金の支給額や支出の内訳、そして最新の税制改正まで、知っておきたいポイントを整理しました。
1. 65歳以上の単身世帯、月の生活費はいくら?【一覧あり】
65歳以上の単身無職世帯の月間家計収支を、総務省「家計調査報告(2024年)」から見ていきます。
毎月の平均実収入は13万4116円で、そのうち約9割にあたる12万1629円が年金などの社会保障給付です。
一方、支出は合計で16万1933円にのぼり、毎月の家計は2万7817円の赤字となっています。消費支出は14万9286円で、内訳は食費4万2085円、住居費1万2693円、交通通信費1万4935円などです。税金や社会保険料といった非消費支出は1万2647円あり、可処分所得をさらに圧迫しています。
食費が消費支出に占める割合(エンゲル係数)は28.2%とやや高めです。また、可処分所得に対する消費支出の割合(平均消費性向)は122.9%に達しています。
このデータから、年金だけでは生活費をまかないきれない世帯もあることがわかります。