4. 「中高齢寡婦加算の段階的廃止」の影響のある人・ない人
中高齢寡婦加算とは、以下の要件を満たす妻が受給する遺族厚生年金への加算です。2025年度は年額62万3800円と高額です。
夫死亡時、40歳以上65歳未満で子どもがいない(遺族基礎年金が受給できない)
遺族基礎年金を受給していた妻で子どもが対象外となり遺族基礎年金を受給できなくなった
中高齢寡婦加算は段階的に減額され、改正から25年掛けて廃止する方向です。減額・廃止の影響について解説します。
4.1 影響のある人
中高齢寡婦加算の段階的廃止の影響のある人は次の通りです。
2028年4月以降に中高齢寡婦加算の受給権が発生する人
中高齢寡婦加算は段階的に減額となるため、受給権発生が遅い人ほど大きな影響を受けます。ただし、受給開始後は65歳まで加算額は変わりません(物価変動等による年金の支給水準の変更による影響を除く)。
4.2 影響のない人
影響のない人は次の通りです。
2028年3月以前に中高齢寡婦加算の受給権が発生した人
遺族基礎年金の受給者や男性など、そもそも中高齢寡婦加算の対象とならない人も、当然ながら影響はありません。
5. まとめにかえて
年金制度改革法案が可決し、2028年4月より遺族年金制度が大きく変わります。主な改定は遺族厚生年金に関するもので、「男性の年齢要件の撤廃」「5年間の有期給付への移行」「中高齢寡婦加算の段階的廃止」などがあります。
男性は受給できる可能性が高まるメリットが大きな改正であるのに対し、女性については受給期間短縮という大きなデメリットを伴うものです。
2029年3月末時点で40歳未満の女性は、配偶者死亡後の生活設計の見直しを検討しましょう。
参考資料
西岡 秀泰