2. シルクの原料となる繭を生み出す蚕の一生
蚕(カイコ)は、人間が絹糸をとる目的でクワコという野生の蛾を飼い慣らし、数千年もの時間をかけて家畜化したもの。
卵から孵った蚕の幼虫は桑の葉を食べて25日ほどで体重1万倍にまで成長し、繭糸を吐いて自らを包む繭を形成。その繭の中でサナギとなります。この繭を乾燥させて生糸に加工したものが、高級素材として知られるシルクになるのです。
生糸用の蚕は繭を収穫する際にその命を終えますが、繁殖用の蚕はその後、繭から羽化して成虫に。その貴重は瞬間を写真に収めたのが、話題となった投稿です。
成虫になった蚕はその後、交尾と産卵を行いますが、成虫の蚕は何も食べず、羽はあるものの自ら動くこともできません。
交尾のあとは人間の手で離してあげないと、自ら離れることもできないのだとか。こうして交尾と産卵のために生きる蚕の命は約1週間。@noubisyaさんは繭を観察し、10日目に羽化、交尾、産卵する姿を見ることができたのだそうです。
蚕の儚い一生を記録した投稿は、ポストを通して多くの人の心を動かしたようですね。
お蚕さまが孵った!!神々しい!可愛い! pic.twitter.com/yvEBo5Eb4C
— 堀江昌史|能美舎(丘峰喫茶店) (@noubisya) June 18, 2025
3. 国内の繭の生産量と買取価格を紹介
蚕の成虫の姿が話題となったことに関連し、ここからは「繭の生産量と買取価格」を紹介します。
一般財団法人大日本蚕糸会の資料によると、戦後の国内繭生産のピークは1968年で、それ以降、養蚕農家数と繭生産量は減少が続いています。主な減少要因は、国内市場における絹需要の減少や、中国などの外国産生糸の輸入によるものです。
2023年の養蚕農家数は146戸で、繭生産量は45トン。繭買取価格の加重平均は2629円/キログラムとなっており、市場規模は約1億1830万と計算できます。
いかがでしょうか。今回は、Xで話題になっている「蚕の成虫の姿」を紹介しました。
参考資料
小野田 裕太