2025年6月13日、2025年度の年金額改定を反映した初めての年金が振込されました。

年金額は1.9%増額となりますが、それを上回る物価上昇が続き、年金受給者の生活の厳しさを伝える報道が相次いでいます。

一方、内閣府の調査によると、60歳以上の人の65.9%は現在の経済的暮らし向きについて「まったく、またはあまり心配ない」と回答したことがわかりました。

本記事では、60歳以上の経済的暮らし向きについて解説します。

年金平均額も紹介しますので、老後の生活設計に役立ててください。

1. 60歳以上の経済的暮らし向き

年金生活者の生活が苦しいとの報道が相次いでいますが、内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、60歳以上の人の65.9%は現在の経済的暮らし向きについて「まったく、またはあまり心配ない」とのことです。

高齢社会白書の内容を詳しく見ていきましょう。

1.1 60歳以上の経済的暮らし向きは悪化傾向にある

高齢社会白書の経済的暮らし向きに関する2019年度と2024年度の調査結果は次の通りです。

経済的暮らし向きに関する調査結果

経済的暮らし向きに関する調査結果

出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」をもとに筆者作成

2019年度

  • 家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:20.1%
  • 家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:54.0%
  • 家計にゆとりがなく、多少心配である:20.3%
  • 家計が苦しく、非常に心配である:5.1%
  • 不明・無回答:0.5%

2024年度

  • 家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:14.8%
  • 家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:51.1%
  • 家計にゆとりがなく、多少心配である:21.8%
  • 家計が苦しく、非常に心配である:9.0%
  • 不明・無回答:3.3%

2019年度調査では、「まったく、またはあまり心配ない」という回答が74.1%を占めたのに対し、2024年度調査では65.9%と大幅に低下しています。

新型コロナウイルス感染症収束後に物価上昇が続き、高齢世帯の家計に大きく影響していることが要因の1つと言えます。