現在、日本の有効求人倍率は高水準で推移しています。東京都を例にあげると、今年の10月時点では、一般の事務職は人材が飽和状態となっていますが、「専門的・技術的職業」や飲食店や介護を含む「サービス業」、「建設業」などで、深刻な人手不足の状態となっています。

つまり、事務職のような「人が集まりやすい職」と、サービス業のような「人が集まりにくい職」が二極化し、給与と引き換えに専門的なスキルやサービスを提供する「ヒト」が不足している状況だと言えます。

この状況を解決するための政策として注目されているのが、今、大きな議論を呼んでいる外国人材の受け入れです。

経団連は、外国人材の受入れに向けた基本的な考え方について今年の10月、「わが国の経済・社会基盤を維持する中小事業者が直面する深刻な人手不足の声にも真摯に対応したものである」と提言しています。ただ、この件については疑問や懸念の声が少なからずあるのも事実です。

先日、学生の人気企業ランキング常連の大手企業に勤める人事担当者が「転勤・残業・接待がある営業職として“採用”の通知を出していた新卒の子に逃げられた」と語っていました。

今後、少子高齢化が進み、「人材不足」がより大きな経営の脅威となる可能性があります。経営資源として最も重要なのが「ヒト」とされながらも、決して良いとは言えない労働条件に身を置く労働者の割合が増加しているいびつな状況については、改善を急ぐべきと言えるのではないでしょうか。

【参考】

  • 社長さん白書2018(アクサ生命保険)
  • 第21回世界CEO意識調査(PwC Japanグループ)
  • 外国人材の受入れに向けた基本的な考え方(一般社団法人 日本経済団体連合会)
  • 職業別有効求人・求職状況(一般常用)(東京ハローワーク)

北川 和子