3. 後期高齢者医療の保険料があがる社会的背景

後期高齢者医療の保険料は、近年上昇傾向にあります。

その主な要因について知っておきましょう。

3.1 後期高齢者負担率の見直し

まずは後期高齢者負担率の見直しがあげられます。

給付費のうち後期高齢者の保険料が占める割合のことを、後期高齢者負担率といいます。これは2年ごとに見直されています。

「後期高齢者1人あたりの保険料」と「現役世代1人あたりの後期高齢者支援金」の伸び率が同じになるよう変更されたことにより、2024年度・2025年度の後期高齢者負担率は12.67%(2022年度・2023年度は11.72%)となりました。

3.2 出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入

「子育ては社会全体で支える」という考え方に基づき、2024年4月から後期高齢者医療制度も出産育児一時金の一部を支援する仕組みが導入されました。

そのため、2024年度・2025年度の後期高齢者医療制度全体で、それぞれ約130億円の費用負担が増加すると見込まれています。

3.3 制度改正に伴う激変緩和措置

今回の制度改正に伴い、保険料負担が増える世帯が出てくる可能性もあります。こうした世帯への配慮として、激変緩和措置が設けています。

  • 低所得者層への配慮: 年金収入153万円相当以下の方(約6割)は、制度改正による保険料の増加が生じない
  • 中間所得層への緩和: 年金収入211万円相当以下の方(全体の約12%)については、2024年度は保険料の増加が生じない
  • 賦課限度額の段階的引き上げ: 保険料の賦課限度額について、2024年度は73万円、2025年度は80万円と、段階的に引き上げられる

3.4 一人当たりの医療給付費の伸び

医療給付費の急激な伸びも影響しています。

2024年度・2025年度の一人当たり医療給付費は、全国平均で年間約90万2000円と見込まれました。2022年度・2023年度の実績見込みが約87万9000円だったので、約2.7%の増加です。

※一定以上の所得がある方の窓口負担割合の見直しや、2024年度の診療報酬改定によって、医療給付費の伸びは一定程度抑えられています。

その他にもさまざまな影響を受け、保険料は変動します。老後も続く保険料負担について、しっかり押さえておきましょう。

最後に後期高齢者世帯における平均的な貯蓄額を紹介します。