3. 自分が将来受け取れる年金額【厚生年金・国民年金の平均受給額】

年金の受取見込み額を知らなければ、老後資金の計画は立てられません。

老後資金の見通しを立てるうえで、まず把握しておくべきなのが「自分が将来いくら年金を受け取れるのか」です。年金は多くの人にとって、老後の生活を支える中心的な収入源となります。

3.1 平均受給額を確認する

60歳以上のすべての受給権者における、厚生年金と国民年金の受給額分布を男女別でみていきましょう。

厚生年金・国民年金 平均月額

厚生年金・国民年金《平均月額の男女差・個人差に着目》

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.2 厚生年金 ※国民年金部分を含む

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

上図のとおり、月額1万円未満~30万円以上と受給額が広範囲に分布しています。

厚生年金の支給額は、現役時代の収入に連動するため、個人差が非常に大きいのが特徴です。

3.3 国民年金 ※国民年金のみの受給の場合

一方、自営業や無職期間などで国民年金のみを受け取っている人たちの支給額は、厚生年金に比べてかなり低くなります。

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

国民年金は、支給額「6万円台」が最も多い一方で、2万円未満しか受け取れない低年金の人も一定数おり、年金だけで生活するには不安が残る層も存在します。

3.4 自分の受給額を確認する

50歳を過ぎると「ねんきん定期便」に年金の試算が記載されます。

毎年1回、誕生月に送付される「ねんきん定期便」には、年金加入記録の概要が記載されています。特に50歳以上になると、これまでの加入実績に基づいた老齢年金の見込額(60歳以降にもらえる額)が記載されるようになります。

この金額は「現時点の加入状況が60歳まで続いた場合」の想定なので、実際の働き方や追加の保険料納付により多少変動する可能性はありますが、大まかな将来像をつかむには十分な情報です。

3.5 より詳しく確認するなら「ねんきんネット」を活用

「ねんきん定期便」だけでは年金の全体像を把握しにくいと感じる場合は、厚生労働省の提供するオンラインサービス「ねんきんネット」の活用がおすすめです。

ねんきんネットでは以下のような情報を確認できます

  • 現在までの納付状況と年金記録
  • 将来の年金見込額(複数のシナリオで試算可能)
  • 加入履歴の詳細(転職などによる制度の切り替えも確認可能)
  • 不足期間や未納の確認、追加納付の案内

マイナポータルやスマホからも簡単にアクセスでき、将来の年金を「見える化」することができます。

自分の年金が何歳から・いくらもらえるかを数値で知ることは、老後資金のスタート地点を明確にすることに他なりません。

3.6 自分のライフプランに沿って活用しよう

仮に年金だけでは足りないと分かった場合、「どの程度の上乗せが必要なのか」「何歳まで働くべきか」「どんな支出を見直すか」といった判断もしやすくなります。

まずは一度、ねんきん定期便とねんきんネットを見直し、老後の収入の土台を自分の目で確かめておくことが、50代からの賢い一歩です。