今回、住民税非課税世帯へ新たな支給が決定しました。物価上昇の影響で日々の生活がひっ迫する中での政策のひとつですね。

日々多くのお客様より「お金」や「資産運用」に関する相談を受けている筆者ですが、やはり近年は、「物価上昇」というワードを使われる方が増えてきています。もちろん国の政策も様々ありますが、やはり「自助努力」での工夫が必要な時代になってきていますね。

今回は「住民税非課税世帯」の基礎などを改めて解説していきます。

1. 住民税非課税世帯・3万円給付金(2024年度補正予算)

コロナ禍以降、家計支援策として「住民税非課税世帯」などを対象とした現金給付がたびたび実施されています。

直近では、2024年度の補正予算に基づき、物価高対策を目的とした給付金が支給されました。

この給付金は、住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円、さらに18歳以下の子どもがいる世帯には子ども1人あたり2万円が加算されるという内容でした。

給付作業は2025年1月から各自治体で順次開始されましたが、2025年7月現在、その多くは申請受付を終了しています。

こうした施策において「住民税非課税世帯」という区分は、制度の対象となるかどうかの目安の一つとしてしばしば用いられています。

【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。

2. 住民税のしくみの基本

住民税のしくみの基本や、住民税非課税世帯となる要件を見ていきます。

2.1 住民税の基本をおさらい

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となります。

個人住民税は、均等割(※1)と所得割(※2)の合計です。

※1 所得に関係なく一律課税となる部分
※2 所得に応じて税額が決まる部分

均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。世帯全員が住民税非課税となる世帯を「住民税非課税世帯」と言います。

※「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もありますが、各種給付金などの対象となるかどうかは、自治体により異なります。お住まいの市区町村などの基準をご確認ください。

2.2 住民税が非課税となる<3つの要件>

住民税が非課税となる要件は、以下のいずれかに当てはまるケースです。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

1と2の要件は全ての市区町村で共通です。一方で、3の所得要件については、それぞれの市区町村が独自の基準を設定しています。

3. 住民税非課税世帯の基準とは

住民税非課税となる所得基準は市区町村ごとに違います。

一例として、東京都23区内の基準を見てみましょう。

3.1 住民税非課税世帯となる要件(東京都23区内の例)

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。
※23区外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村に確認してください。

東京都23区内での、住民税が非課税となる所得の目安は世帯構成により変動します。同一生計配偶者や扶養家族がいない場合45万円以下です。

ただし所得は、年収から経費や各種控除を差し引いたあとの金額です。収入ベースのほうがイメージしやすいかもしれませんね。

4. 住民税非課税となる収入の目安(港区)

ここでは東京都港区の例を用いながら、住民税非課税世帯となる基準を、「収入額」での目安換算で見ていきます。

  • アルバイトやパート:給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得:収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下

住民税が非課税になる収入のボーダーラインは、収入の種類によって基準が大きく異なります。

東京都港区の例で見ると、パートやアルバイトによる「給与収入」であれば年収100万円以下が目安です。

これが「年金収入」のみの場合、年齢によって基準が変わり、65歳未満なら105万円以下、65歳以上では155万円以下に引き上げられます。

さらに、不動産収入などでは、収入から必要経費を差し引いた合計所得金額が45万円以下であることが必要で、計算の仕方そのものが違います。

このように、非課税の判定基準は単に収入の金額だけでなく、収入の種類によっても変動します。さらに、扶養親族の有無や人数など、いろいろな条件が絡んでくるのです。

5. 「住民税非課税世帯」になりやすい世帯とは?

65歳以上で「年金収入のみ」となる世帯では、住民税が非課税となる限度額が高めに設定されています。

老後の年金生活に入ると、一般的には現役時代よりも収入が減る傾向があります。さらに、65歳以上の人には公的年金に対する所得控除が大きいうえ、遺族年金は非課税です。

こうした背景から、年金暮らしのシニアは「住民税非課税世帯」に該当しやすいと言えるでしょう。

厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」から、住民税が「課税される世帯」の割合を、年代別に見てみましょう。

【年代別】住民税が課税される世帯の割合

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

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出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:88.0%
  • 40歳代:90.0%
  • 50歳代:86.4%
  • 60歳代:78.3%
  • 70歳代:64.1%
  • 80歳代:47.5%
  • 65歳以上(再掲):61.9%
  • 75歳以上(再掲):50.9%

※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。

住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%にまで下がります。

その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%と、年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっていきます。

ただし、住民税非課税世帯の判定基準となるのはあくまでも「収入(所得)」です。

年金収入は少ないけれど、たくさん預貯金があり、それを取り崩して暮らしているシニア世帯も、住民税非課税世帯に一定数含まれていると考えてよいでしょう。

6. 年金制度改正の全体像

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。

この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。

今回の改正の全体像を見ておきましょう。

6.1 主な改正内容

社会保険の加入対象の拡大

  • 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

  • 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

その他の見直し

  • 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
  • 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど

上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。

7. まとめ

今回は「住民税非課税世帯」への給付金に焦点を当てて解説してきました。自分が対象者かどうかや受け取り方法などはしっかり確認しておきましょう。

やはり将来資金の準備は年金や国からの支援だけでなく「自助努力」での準備が必要になってきています。NISAやiDeCoなどの資産運用もその一つです。

銀行預金ではなかなか増えていかない今、高い利回りが期待できる「資産運用」を取り入れる世帯も多くなってきています。

しかし、資産運用は預金とは異なり様々なリスクがあります。だからこそ何となく始めるのではなくしっかりと理解してから取り入れることが大事ですね。

参考資料