6. 【家計管理の豆知識】よく聞く「エンゲル係数」ってなに?
前章で取り上げたシニア世帯の家計収支において、特に注目すべき点のひとつが「エンゲル係数」で、その値は29.8%と、やや高めとなっています。
エンゲル係数とは、消費支出に対する食費の割合を示す指標であり、一般的にはこの数値が高いほど、生活にゆとりがない状態と見なされます。
エンゲル係数の算出方法=食費÷消費支出×100(%)
65歳以上の家庭では、家計に占める食費の割合が高く、日々の生活において大きな支出項目となっていることが見て取れます。
ただし、エンゲル係数は、世帯構成や人生の段階によっても異なるため、単純に比較できない面もあります。
たとえば、成長期の子どもがいる世帯では、どうしても食費がかさみやすく、その結果エンゲル係数が高めになるケースもあります。
一方、高齢者の一人暮らし世帯などでは、食費そのものは多くなくても、他の支出も抑えられているために、食費の占める割合が相対的に大きくなる場合があります。
このように、エンゲル係数の上昇にはさまざまな要因が考えられます。
急に数値が高くなったときには、食費の増加だけでなく、他の支出が減っていないかなど、家計の全体像を振り返る良いタイミングだといえるでしょう。
7. 現役時代のうちからの計画的な貯蓄が大切
今回は、70歳代のお金の実情について詳しく見てきました。
シニア世代の金融資産保有額には個人差があります。また、年金受給額や毎月の生活にかかる費用も人それぞれです。
老後を安心して迎えるためには、老後に必要な資金を把握し現役時代のうちから計画的に貯蓄しておくことがポイントになります。
また近年では、65歳以降も働き続ける人も増えています。
もちろん、健康で長く働くことができれば良いですが、大きな病気に罹患したり介護が必要になったりするリスクは誰もが抱えています。
「何歳まで働けるのか」「もし働けなくなったときにどう備えるか」も事前に確認しておくことが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- PRTIMES「約8割が「老後不安」、生活費と医療費が二大懸念。老後資金準備状況は「二極化傾向」。若年層の「ねんきん定期便」理解不足も浮き彫りに」
マネー編集部貯蓄班