2025年6月13日、年金制度改正法が成立され、在職老齢年金制度について支給停止となる収入基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げることが決まりました。
「60歳代をどう過ごすか」について、その選択は個人差が大きくなっているでしょう。物価高や老後の不安が大きい現代においては、働く人も少なくありません。
一般的な年金の受給開始年齢は65歳からですが、今回は65歳以上の貯蓄額をみていきます。
また、定年後に減る・増える支出についても見ていきましょう。
1. 【65歳以上】貯蓄4000万円以上の割合とは
一時期話題になった2000万円ですが、現代は4000万円以上ないと不安という方もいるでしょう。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、4000万円以上の貯蓄を持っている世帯は全体の20%でした※世帯主が65歳以上の世帯(二人以上世帯)。
平均値は2509万円、中央値は1658万円なので4000万円以上の貯蓄はかなり多いように感じますが、5世帯に1世帯はいる計算となります。
2. 65歳以上の月の生活費はいくらか
貯蓄が4000万円以上あれば老後の心配はないかもしれませんが、もし貯蓄がない場合、65歳以上で無職になっても年金などで生活費を賄えるのでしょうか?
総務省統計局の「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考に、65歳以上無職夫婦世帯の収支をチェックしていきます。
65歳以上かつ夫婦のみの無職世帯の生活費は、毎月28万6877円でした。
大まかな内訳は以下のとおりです。
- 消費支出:25万6521円
- 非消費支出:3万356円
一方で、実収入は25万2818円だったので、普通に生活していたら毎月3万4058円の赤字が発生することがわかります。
1年間で約40万円の赤字です。
もし65〜85歳まで生きると考えると、20年間で800万円の赤字が生じますので、貯蓄などでの備えが平均的には必要となります。
紹介したのはあくまで平均的な世帯であり、生活スタイルや住んでいる地域によっては毎月の赤字は3万円以上になることもあるでしょう。
これを機に、一度生活費の計算をしてみてもいいかもしれませんね。
3. 【厚生年金と国民年金】年金受給開始は基本的に65歳から。平均月額はいくら?
老後の収入の柱となる年金についても確認しておきましょう。
厚生労働省年金局が公表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
3.1 厚生年金の平均年金月額
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を確認すると、厚生年金の平均年金月額は14万6429円だとわかりました※国民年金部分を含む。
夫婦が二人とも全体の平均年金月額ほどもらえれば先ほど紹介した生活費にはギリギリ足りるでしょう。
ちなみに男女別の平均をみると、男性の平均年金月額は16万6606円、女性の平均年金月額は10万7200円です。
ただし、厚生年金は個人差が大きいのが特徴です。
3.2 国民年金の平均年金月額
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を確認すると、国民年金の平均年金月額は5万7584円だとわかりました。
国民年金の平均年金月額4/4
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
男女別も確認します。
- 平均年金月額(男性):5万9965円
- 平均年金月額(女性):5万5777円
男女別にみても平均年金月額はそれほど変わりません。
いずれにしても年金の受給額を増やしたり、私的年金や貯蓄を増やしたりなどの対策を検討するとよいでしょう。
4. 【退職後】減る「支出」、増える「支出」とは?
いつリタイアするかは悩ましいものです。
また、家計の変化として退職後に減る・増える支出は把握をしておいた方がようでしょう。
退職後に減る、増えると考えらえる一般的な支出は以下の通りです。
4.1 定年退職後に減る支出
- 会社員時代の食費や服飾費
- 会社員時代の交際費用
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 健康保険料など
4.2 定年退職後に増えやすい支出
- 食費
- 光熱費
- 友人、近所、身内などの交際費
- セカンドライフの趣味や旅行等の費用
- 国民健康保険料など ※人によっては一定期間、定年退職前の健康保険に引き続き加入するなど違いがあります
光熱費は増える可能性があるので、早めに見直しておくといいかもしれませんね。
また、なかには住宅ローンを払い終えて支出が減る・孫への支出が増えるなどといった方もいます。
5. まとめにかえて
今回は平均をお伝えしましたが、貯蓄額も年金も、そして60歳代の過ごし方も個人差が大きなものです。
自分の場合の現状と、そして今後についてこれを機に考えてみましょう。
また、制度が改正される場合もありますので、お金に関する情報収集も欠かさないようにしましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」
- 総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
宮野 茉莉子