上司「今日の打ち合わせの進捗状況はどうだった?」
部下「あの、え……っと……少しお待ちください……〈資料を探して〉基本的には問題ないです。相手もこの予算でいいと言っていますし……」

 上司からいきなり「あの件、どうなった?」と尋ねられて、しどろもどろになってしまう人は一定数います。資料が見つかった後のやり取りは特に問題ないのですが、これでは上司に「こいつに任せて大丈夫かな……」と不安に思われても仕方ありません。

 メンタリストでビジネス心理関連の著作も多いロミオ・ロドリゲス Jr.さんは、こうした場合には、簡単なポイントをちょっと押さえておくだけで、上司からの印象は180度変わると話します。同氏の著書『仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!』から、そのテクニックをご紹介します。

「仕事ができる」と思われるには?

 上司から見て「大丈夫か、こいつ」と思うようなことが続くと、場合によっては「仕事ができない」というレッテルが貼られてしまいます。そうなってしまったら最後、それ以降はきっと大きな仕事を任せてもらえないことでしょう。

 こうした上司の質問に素早く返事ができるのは、長年の経験が蓄積されていてこそですが、そうでない人も、簡単なポイントをちょっと押さえるだけで、「仕事ができる人」だと思われるテクニックがあります。

 実は、仕事ができる人と思われるためには「上司の質問に対して、できるだけ素早く返事をする」だけでいいのです。

オーストラリアで行われた、ある実験

 2015年に、オーストラリアのブリスベンにあるクィーンズランド大学で、これを証明する実験が行われました。

 まず417名の学生を集めて、全員の性格とIQのテストを行います、次に、全員に「宝石の名前をできるだけ言ってください」と質問をしたり、「一般的なパズル」に取り組んでもらったりして、全員がどれだけ素早く回答ができるのかを記録していきました。その結果、次のようなことが判明しました。

・問題に答えるスピードが速い人ほど、頭がいいと思われた
・IQの高さは、答えるスピードとは関係がない
・性格のよさと頭のよさは関係ない

 つまり、実際の頭のよさとは関係なく、単に「どれだけスピーディーに問題に答えられるか」を心がければ、頭がいいと思われるということがわかってきたのです。

「とにかく素早く」答えること

 この研究チームのメンバーはこう言っています。

「『仕事ができる』と思われるかどうかは、頭のよさとは関係がない。そして難しい問題を解く能力が高くても、他人から『仕事ができる』とは思われないということです。仕事ができる人だと思われたければ、質問や問題に対して、瞬時に答えればいいのです」

 つまり、質問に対して、その答えが合っているかどうかを気にするより、とにかく相手の質問に対して、まずスピーディーに答えるというだけで、上司は「こいつ、仕事ができるな」と感じるわけです。

「いや、でも質問の内容に対して、あとで辻褄が合わなかったらダメでは?」

そう感じた人もいるかもしれません。

結果は同じなのに印象は天地の差

そこで、そうしたことも解決する方法をひとつ挙げておきましょう。先ほどの会話と比べてみてください。

上司「今日の打ち合わせの進捗状況はどうだった?」
部下「はい、バッチリです。相手も予算内だと言っています。資料をご覧になりますか?」

 そう言って資料を出し、説明をするのです。

 先ほどとの差はおわかりでしょうか? そう、どちらにしても資料を出さないことには説明ができないのですが、素早く答えるか、資料を出してから話し始めるかで、その印象には天地の差があるのです。

さらに上級編のテクニック

 これが板についてくると、たとえあまり打ち合わせの内容を覚えていなくても、こんな返し方をする人も出てきます。

「はい、バッチリです。あと15分で、いま取り掛かっている案件を終わらせますので、のちほど進捗状況をデスクでゆっくりご説明します」

 いかがでしょうか? とにかく素早く返事するだけで、まるでしっかり打ち合わせの内容を理解していると感じませんでしたか? 説明をあとに延ばし、その間に資料を読み返せばいいのです。説明をするタイミングを後ろにずらせば、いとも簡単にできると思いませんか。

 このように、とにかく素早く質問に対してレスポンスすること、これが「仕事ができる人間」だと思われるポイントです。上司も仕事ができるあなたに対して、とやかく言うことはないでしょう。

筆者のロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

もうひとつのポイント

 もうひとつ押さえておきたいポイントとしては、「なるべく早口で話すこと」です。

 早口は相手の反論を抑える効果があり、先ほど述べた「説明をあとにずらす」というテクニックも、早口であればあるほど効果を発揮します。

 ただし、早口は諸刃の剣で、上記のような場合には有効なのですが、基本的には「信頼性・信憑性に欠ける」「自信がない」と思われることも多くあります。そのため、一般的には早口は「いざというときのみ」に使うことをおすすめします。普段のときはぜひ「ゆっくり」「落ち着いた」話し方を心がけてください。


■ ロミオ・ロドリゲス Jr.(Romeo Rodriguez Jr.)
1972年香港生まれ。メンタリスト。幼少時より英国・カナダ・日本とさまざまな国で生活し、4カ国語を操る。2010年には香港大学の専修科でメンタリズムの講師として抜擢される。経営・営業・サービスや接客業などビジネスの現場で「いかに人の心を読むか」を指導。ビジネス心理術に特化した説得術・交渉術・読心術・営業術・人心掌握術を得意としている。

ロミオ・ロドリゲス Jr.氏の著書:
仕事は嫌いじゃないけど、人間関係がめんどくさい!

ロミオ・ロドリゲス Jr.