住民税決定通知書が届くこの時期は、夫婦の働き方について改めて考える世帯も多いのではないでしょうか。働き方や家族のすがたが多様化するいま、各家庭のライフスタイルに寄り添う選択が求められていますね。
総務省統計局から2025年2月14日に「労働力調査(詳細集計)」の2024年平均結果(※1)によると、2024年には「共働き世帯(※2)」は1300万世帯となり、前年の1278万世帯から22万世帯増加しました。
一方、専業主婦世帯(※3)は508万世帯で、前年の517万世帯から9万世帯減少しています。
この推移を見ると「共働き世帯」は増加傾向に、「専業主婦世帯」は減少傾向にあります。夫婦共働きが「いまどきの主流」であると言えそうです。
子育てと仕事の両立を支援する制度の整備や、パートタイムで働く人の社会保険適用の拡大が進むこんにち。今後も働く女性は増えることが予想されます。
今回は、「専業主婦になりたい」という女性たちの意識の変化、そして専業主婦世帯と共働き世帯の年収事情について、調査結果をもとに見ていきます。
※1:ここでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構「共働き世帯の状況 ―労働力調査(詳細集計)の結果から―」より、夫婦のいる世帯の、夫と妻の就業状態別の推移グラフを引用
※2:共働き世帯の定義「夫婦ともに非農林業雇用者である世帯」
※3:専業主婦世帯の定義「夫が非農林業雇用者で妻が非就業者である世帯」
1. 「専業主婦になりたい」という気持ちの変化は?
共働き世帯が増える一方で、「専業主婦で家庭を切り盛りすることに向いている」「子どもが小さい間は家事・育児に専念したい」という思いを大切する人もいるでしょう。
女性たちの意識はどのように変化しているのでしょうか。ここからは、博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査(1992年~2024年)の結果に目を向けてみます。
2024年の同調査では「今後してみたいことは何ですか?」という質問に対し、「専業主婦になりたい」と答えた女性の割合は20.0%でした。
これは前回調査(2022年:24.2%)から4.2ポイント低下し、調査が開始された1998年(26.9%)以降では最も低い数値となっています。
過去の推移を見ると、2004年の38.6%をピークに増減を繰り返しつつも、近年は緩やかな低下傾向にあることがわかります。
推移をみると以下の通りです。
1.1 「今後、専業主婦になりたい」と思う女性の割合の変化【全体】
- 1998年:26.9%
- 2000年:30.5%
- 2002年:33.0%
- 2004年:38.6%
- 2006年:28.0%
- 2008年:28.9%
- 2010年:31.8%
- 2012年:27.5%
- 2014年:28.2%
- 2016年:28.4%
- 2018年:25.8%
- 2020年:28.1%
- 2022年:24.2%
- 2024年:20.0%
年代別に見ると以下の通りです。
1.2 「今後、専業主婦になりたい」と思う女性の割合の変化【年代別】
- 20歳代:17.6%
- 30歳代:22.0%
- 40歳代:21.2%
- 50歳代:18.1%
- 60歳代:21.0%
年代別に2024年の結果を見ると、「専業主婦になりたい」と回答した割合は、30歳代が22.0%で最も高く、次いで40歳代(21.2%)、60歳代(21.0%)と続きます。
20歳代は17.6%と、調査対象年代の中では最も低い割合でした。キャリア形成期に当たる20歳代で「専業主婦になりたい」という割合が低くなるのは、ごく自然なことかもしれませんね。
一方で、子育て期にあたる30歳~40歳代では、その気持ちがやや高まる傾向が見られます。
2. 専業主婦世帯のリアルな年収事情
「専業主婦になりたいな」と望んでも、家計の状況から二人で働く必要があるという世帯もあるでしょう。
ここでは総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年」から、「夫のみ有業世帯(専業主婦世帯)」「夫婦共働き世帯」の平均年間収入を見てみます。
2.1 夫のみ有業世帯(専業主婦世帯)の平均年間収入
夫のみ有業世帯:714万円
- うち夫婦と未婚の子供1人の世帯:727万円
- (世帯主の年齢46.1歳)
- うち夫婦と未婚の子供2人の世帯:773万円
- (世帯主の年齢42.2歳)
夫婦共働き世帯:872万円
夫のみの収入で700万円台前半と聞くと、「この収入帯であれば、専業主婦として子育てをしながら貯蓄もしていけるかも?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、1年間を通じて勤務した男性給与所得者のうち、年収700万円を超えるのは全体の34.3%(※)です。
この数字からは、夫ひとりの収入で安定した生活を送れる「専業主婦世帯」が、すべての家庭にとって現実的な選択肢とは限らないことも分かります。
もちろん、これは額面年収を基にした一つの目安です。
実際には、勤務先の福利厚生(社宅や住宅補助の有無)、資産状況や家計のやりくりなど、年収の数字だけでは一概に測れないさまざまな要素も暮らしに影響してくることを、心に留めておきたいですね。
2.2 ※ご参考※給与階級別給与所得者数・構成割合
3. 共働き世帯・専業主婦世帯「家事・育児などの時間」夫婦の差はどれほどあるのか
ここまで、専業主婦を希望する女性の割合や、専業主婦世帯の収入事情などを見てきました。
ここで、総務省の「令和3年社会生活基本調査」より、共働き世帯と専業主婦世帯に分けた夫婦の時間の使い方を「仕事」「家事」「育児」「介護・看病」に分けて、1日あたり平均を比べてみましょう。
3.1 共働き世帯:夫/妻
- 仕事:7時間12分/4時間4分
- 家事:24分/3時間15分
- 育児:20分/1時間4分
- 介護・看病:1分/4分
3.2 専業主婦世帯:夫/妻
- 仕事:6時間50分/2分
- 家事:17分/4時間51分
- 育児:25分/1時間55分
- 介護・看病:2分/5分
共働き世帯が多い現代ですが、家事や育児の主な担い手が依然として女性であるという状況は、実はあまり変わっていないのかもしれません。
便利な家電やオンラインで完結できる手続きなどが増えたとはいえ、日々の育児や家事に追われる中で、「専業主婦がいいのか、共働きを続けるべきか」と悩む方も少なくないでしょう。
もちろん、夫と妻の労働時間や収入など、世帯ごとの事情によって家事の分担配分は変わってきますが、この問いの正解は一つではないでしょう。
大切なのは、夫婦それぞれの得意なことや心地よいと感じるペース、家庭の状況、そして周囲のサポート環境を見つめ直してみること。
また、お互いの苦手な部分をどう補い、支え合えるか。夫婦というチームでどう協力体制を築くかがポイントとなりそうです。
専業主婦か共働きかという「形」にこだわるのではなく、それぞれの家庭が納得できる、しなやかで心地よいバランスを見つけていくことが大切なのかもしれませんね。
参考資料
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「共働き世帯の状況 ―労働力調査(詳細集計)の結果から―」
- 博報堂生活総合研究所「生活定点」調査(1992年~2024年)02.暮らし向き「今後してみたいことは何ですか?」No.270 専業主婦になりたい[女性のみ]
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年」詳細結果8-9表
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 総務省「令和3年社会生活基本調査」表12-1、12-2
吉沢 良子